フードスタンプ管理「Propel」にみる、低所得者向け就業支援インフラの可能性

by Takuya Tsuchiya Takuya Tsuchiya on 2019.2.10

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Photo by Juan Pablo Arenas on Pexels.com

ピックアップ:Propel raises $12.8M for its free app to manage government benefits

ニュースサマリ:低所得者向けフードスタンプ管理アプリ「Propel」がシリーズAラウンドで1280万ドルを調達。ユーザーはアプリ上でフードスタンプの残高を確認することができる。またアプリには求人広告が表示され、2018年度は3万人がアプリを通じて仕事に応募したという。低所得者への生活保護として供給されるフードスタンプは現在米国で150万人以上の利用者がいるという。

話題のポイント:日本では聞きなれない「フードスタンプ」ご存知でしょうか?

アメリカ合衆国で低所得者向けに提供されている食料費補助対策のプログラムのことで、日本ではもうちょっと広い適用範囲に生活保護がありますが、これそのものズバリの制度はありません。

正式名称は「補助的栄養支援プログラム = SNAP(Supplemental Nutrition Assistance Program)」で、州ごとに細かく異なりますが、4人家族で月の収入が2500ドルを下回った場合、一人あたり最大100ドルのスタンプが支給されることが多いです。

米国にはフードスタンプ利用者が約4500万人存在するそうで、政府側は彼らに対して700億ドルの予算をプログラムとして提供しています。受給者が一向に減らないことが米国では問題になっていて、トランプ大統領も昨年フードスタンプ受給に就労していることを条件として含むべき、という考えをツイートしたりしてました。

Propel

さておき、今回ご紹介するPropelはこのフードスタンプの残額がEBTカードにどれだけあるか調べることができるアプリを提供するスタートアップです。EBTカードとは、フードスタンプ向けのATMやお店で使えるプラスティック製のカードのことで、利用者は今までは電話を使ってEBTの残額を確認していました。不便ですね。

アプリでは自分の購買履歴やフードスタンプを利用できる店舗などのチェックができるほか、クーポンやジョブボード機能なども提供しています。

このクーポンやジョブボードがポイントで、フードスタンプ利用者(消費者)及び政府側は利用無料なんですが、マーケティングや人材採用などで企業を相手にマネタイズをしているんですね。2017年5月時点でウィークリーユーザーが25万人だったそうですが、その18カ月後には月間ベースで150万人までユーザーを拡大しているようです。仕事は累計で3万件ほど応募を集めています。

フードスタンプのように生活に問題を抱える人を支援する仕組みに利便性を与えつつ、そこから仕事などの別のビジネスチャンスに繋げるというアイデアは国内でも通用するのではないでしょうか。低所得者層の支援インフラはこれからの社会を考える上でひとつテーマになりそうです。

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