ピックアップ:Binance planning to launch ‘Venus,’ similar to Facebook’s upcoming cryptocurrency Libra
ニュースサマリー:8月19日、暗号通貨取引所のBinanceがFacebookのLibraのようなステーブルコインの開発を開始すると発表した。プロジェクト名は「Venus」とされ、現在BinanceはVenusの運営に参加する政府・企業・テック企業・暗号通貨関連企業を募集している。
Libraは銀行を介さない低コストの送金をグローバルに実施するためのシステム「Libraブロックチェーン」と、Libra協会の参画企業による「ノード運用」によって成り立つ仮想通貨。
一方、VenusはBinanceチェーンをベースに各国の通貨にペッグ(価格を同一に調整する)されたステーブルコインが発行されるという。この点では主要各国の通貨をバスケットにしたLibraとは少し性質が異なる。Binance共同創業者のYi He氏は、The Blockの記事のなかで以下のようにコメントしている。
私達は長期的にはステーブルコインが徐々に各国主要法定通貨をリプレイスし、デジタル・エコノミーの新しくかつバランスのとれたスタンダードになると信じています。
話題のポイント:今年の6月に発表されたFacebook Libraは暗号通貨・ブロックチェーン業界のビッグ・プレイヤーにも大きな影響を及ぼしたのではないでしょうか。
<参考記事>
もしインターネット世界で覇権を握るFacebookのLibraが暗号通貨市場でも覇権を握ってしまえば、Binanceのような既存プレイヤーは為す術がありません。SNS空間と仮想通貨を紐づかせた製品は高い競合優位性を持ちます。この点、VenusはLibraにステーブルコイン市場を奪われんとする必死の抵抗だと受け取ることができます。
また、暗号通貨の原理に反する理念もBinanceによるVenus発行の一因と言えます。
暗号通貨・ブロックチェーンの世界には「非中央集権」という強い思想が存在しますが、Facebookはその正反対の位置にいる企業であり、宗教戦争的な側面も感じられます。
Facebookが過去にユーザー・プライバシーに関連する様々な問題を起こしてきたことがBinanceを突き動かしているとも言えるのです。
Libra発表直後、Binanceは一度Libra協会への加入を考えていたという報道もありました。しかし、Libraが規制当局からこっぴどく批判され、プロジェクト進行の雲行きが怪しくなってきている現状を垣間見れば、プラットホームに便乗するのではなく自ら作り出す方へシフトした決定は正しいと言えるでしょう。
Pushing adoption, yes. Domination, no. Always happy to co-exist.
In fact, this should help Libra, if you think about it. Will leave it at that. https://t.co/HLSywLb2mi
— CZ Binance (@cz_binance) August 19, 2019
Binance CEOは自身のTwitterにて、Venusはクリプトのアダプションを進めるためにあり、Libraとは競合するのではなく共存し、むしろLibraをサポートする立場にもあると述べています。
確かに両者にはステーブルコインのアダプションという意味では一定の相乗効果があると言えまるでしょう。しかし最終的には市場主権を奪い合う立ち位置にいることは言うまでもありません。
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