Brick & Mortar Ventures、9,700万米ドル規模の〝建設テック〟ベンチャーファンドをローンチ

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Image credit: Brick & Mortar Ventures

建設技術業界はめざましい成長を続けている。Brick & Mortar Ventures が建設関連のソフトウェア・ハードウェア業界に投資するべく9,700万米ドル規模のファンドを立ち上げたのもそこが狙いだ。

サンフランシスコに本拠を置く同社は、建設系テック投資の経験豊富な Darren Bechtel 氏によって設立され、有名な資金供給源から支援を受けている。

今回立ち上げたファンドは、建築やエンジニアリング、建設、施設管理といった業界に向けて革新的なソフトウェアやハードウェアのソリューションを開発している新興企業を対象としている。Brick & Mortar Ventures はすでに既存のファンドで16の企業に投資している。

マネージングディレクターの Bechtel 氏は、2012年から建築業界のテクノロジースタートアップに私財を投資している。その手始めとして行ったのが、PlanGrid へのシードラウンドでの投資で、投資額は投資家の間で最大であった(PlanGrid は2018年11月に、8億7,500万米ドルで Autodesk に買収された)。

Bechtel 氏は声明で次のように語った。

当社にとって初となる、コーポレートベンチャーキャピタルファンドと、企業戦略投資家とパートナーの皆さんを公式にご紹介できることを大変嬉しく思います。様々な業界にエンジェル投資家として参加しながら、投資先企業約40社を見てきましたが、建設業界への投資はパフォーマンスが際立っており、今後大きなトレンドが来るように見えました。

直観が当たったのか、単純に運がいいのか、どちらかはよくわかりませんが、私の初となる建設系テック企業4社への投資は PlanGrid、BuildZoom、BuildingConnected、Rhumbix に対するシードラウンドでした。これらの企業の急速な成長、与えたインパクト、初期段階における成功によって、建設業界には大きな可能性があり、今こそリスクを取ってでも建設業界のテック投資に賭けるときだと確信しました。

Image credit: Brick & Mortar Ventures

Brick & Mortar は Ardex、Autodesk、Cemex、Ferguson Ventures、FMI、Glodon、Haskell、Hilti、大林組、Sidewalk Labs、United Rentals といった建設系バリューチェーンの大手から資金を集めている。

こうした組織は Brick & Mortar のチームとの戦略的な関係性からメリットを得ることができ、各社は必要であれば組織が直面している課題について情報を共有することができる。また、ビジネスチャンスにおいて協力したり、概念実証テストや共同開発、商業目的で利用可能な新しいテクノロジーソリューションを試してみることもできる。

国際的なエンジニアリング・建設企業として120年の歴史を持つ Bechtel Group は、Darren 氏の高祖父によって設立され、現在では同氏の兄弟である Brendan Bechtel 氏が経営にあたっている。Bechtel Group は Brick & Mortar 本体やその投資先企業への投資に参加していないが、Darren 氏との家族的なつながりや過去の仕事上の関係性から、Brick & Mortar は Bechtel Group を優先産業パートナーにするとともに、アンカー投資家(ファンド出資者の中でも要となる投資家)となっている。

こうしたパートナー企業は Brick & Mortar と連携して、業界の課題を洗い出したり、新たなソリューションを見つけたり、設立初期段階にある企業から得られるメリットを検討する(この場合、Brick & Mortar がその企業への投資に参加しているかどうかは考慮されない)。個別の企業へのサポートと、Brick & Mortar と優先産業パートナーとの提携の他に、同社は知識の共有と企業間の直接的な協力も呼び掛けている。

Ferguson Ventures のマネージングディレクター Kevin Barnes 氏は声明で語った。

Brick & Mortar のリミテッドパートナーとして、建設業界に特化したソリューションを開発している前途有望なスタートアップの支援に参加できることを大変嬉しく思います。Darren 氏と彼のチーム、そして参加している業界トップのリミテッドパートナー企業は建設業界に多大な貢献をしていくことになるでしょう。

2018年1月に最初のファンドをクローズして以降、Brick & Mortar は既存のファンドで16社へ投資を行っている。投資先は次の企業だ。ManufactOn、FieldWire、Serious Labs、BuildingConnected (Autodesk が買収)、Branch Technology、Canvas、Cumulus、Connect Homes、Illumagear、SafeAI、Veerum、Ynomia、Curbio、Wingtra、Timber、SafeSite。

同社は引き続き、主にアメリカやカナダ、ヨーロッパ、オーストラリアを中心にシードラウンドとシリーズ A ラウンドをリードしていく計画だ。有望な企業が見つかれば100万~400万米ドルを投資し、すでに投資している企業への今後の投資のためにも資金を残している。

Dysruptek(Haskell のコーポレートベンチャーキャピタル部門)の戦略・技術投資ディレクターCutler Knupp 氏は声明で次のように語った。

Brick & Mortar は、口先だけでなく、本当の意味でリミテッドパートナーに利益をもたらすために最大限の努力をしていることを見せてくれています。業界の知識と実用的なソリューションへの真摯な取り組みが Brick & Mortar を唯一無二の存在にしているのです。Brick & Mortar には建設・エンジニアリング・施工業界に最先端のテクノロジーをもたらそうという熱い情熱があります。さらに、先見の明のある投資も行い、小さな失敗も恐れません。同社のチームは長期にわたるメリットを生み出すべく、リミテッドパートナーや投資先企業と本当のパートナーとして向き合っています。

Brick & Mortar の専門知識と、リミテッドパートナーとの戦略的な関係により、投資先の設立者たちは他では手に入れることのできない業界の経験に触れることができ、建設系バリューチェーンの大物たちともつながりができる。同社はプロダクト・マーケットフィットに関する詳細なフィードバックの提供や、製品のロードマップ作成および短期間での概念実証の実施、規模拡大に向けたテストのサポートを行う。

現在のチームメンバーは、Darren Bechtel 氏、Alice Leung 氏、Kaustubh Pandya 氏、Curtis Rodgers 氏、Austin Yount 氏の5人だ。

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【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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