
ニュースサマリ:ギフトショップ「TANP」を運営するGraciaは8月28日、第三者割当増資の実施を公表した。引受先となったのはグロービス・キャピタル・パートナーズ(以下、GCP)、スパイラルベンチャーズ、ANRI、マネックスベンチャーズ、ドリームインキュベータ、SMBC ベンチャーキャピタルの6社と、個人投資家として福島良典氏、有安伸宏氏、大湯俊介氏、遠藤崇史氏の4名。調達した資金の総額は5億円で、GCPの高宮慎一氏が社外取締役に就任する。その他出資比率などの詳細は非公開。
Graciaの創業は2017年6月。「TANP」は誕生日プレゼントなどのカジュアルギフトをメールやSNSを通じて手軽に贈れるサービス。ギフト体験に特化しており、THE BODY SHOPやDEAN & DELUCAといった200ブランドの商品を取り扱う。
8割以上のユーザーがギフトラッピングやメッセージカードといったオプションを追加購入しており、こういった追加作業を含めたロジスティクス体制についても、システム連携などの工夫を通じ、1日で1200件の配送を達成するなど強化をしている。今回の調達資金でマーケティングと体制強化を進めるほか、年内のアプリ投入も計画する。
話題のポイント:本誌にもインタビューで登場してくれたU25起業家、斎藤拓泰さんのGraciaが大型調達です。市場的には今月、カジュアルギフトサービス「giftee」運営のギフティがマザーズに上場承認されるなど、にわかに盛り上がっている領域になります。
<参考記事>
一方、ギフティの開示で明らかになったように、彼らのビジネスはエンタープライズ向けのデジタルギフトOEMが中心でした。一般消費者がスマホで挨拶するようにギフトを贈り合うという構想・ビジョンだったと記憶していますが、一筋縄ではいかなかったようです。この視点を踏まえ、事業のスケール感などを改めて斎藤さんにお聞きしてきました(太字の質問は全て筆者。回答は斎藤さん)。
TANPのユーザーはどういったシチュエーションでギフトを利用するケースが多いですか
基本的にはTANPの使われ方としては誕生日や結婚祝いなど、ライフイベントにおける利用が多いです。また、ホワイトデー、母の日、クリスマスなどのカジュアルなシーズンイベントでの利用もかなり多いですが、お歳暮やお中元などのフォーマルなイベントはあまりいただいていない、というのが現状です。
なるほど、旧来の贈り物文化から変化している
お歳暮やお中元などの形式的なギフトは市場全体としても縮小傾向です。ただその中でもギフト市場全体としては年々成長しているので、お歳暮などの形式的なギフトの代わりに、特定個人への心のこもったギフトが近年増加しているという認識です。
ビジネスについて。ギフティとは構造が違うので単純な比較はできませんが、消費者向けをとにかく伸ばす考えなのか、法人向けの展開を考えているのか、その辺りを教えてください
基本的には消費者向けを今後メインで伸ばしていくことを考えていて、現状いただいている注文もほぼ消費者様からです。ギフティさんは間接的に幅広くデジタルチケットを消費者様に対して普及させる一方、TANPでは独自の付加価値をリアルのものに対して提供すること(ギフト加工)が強みです。なので、直接的にユーザーにアクセスする方が強いと考えています。
ただ、一般における認知を取った次の段階として、法人様向けにギフトの発注をいただく、ということは検討しております。リアルとデジタルギフトの違いがあるのでやり方は異なりますが、最終的には人と人とのコミュニケーションを円滑にする手伝いをしていくという点では目指している方向は一緒だと考えています。
後もう一点、ロジスティクスで8割のユーザーがギフトアイテムにメッセージなどのオプションを追加する、ということですが、ここでのオペレーション課題は
弊社の強みとしてエンジニアリングを活用していかにしてリアルオペレーションを効率化していくか、というものがあります。物流などのマンオペレーションも機械とのつなぎこみ、システムとオペレーションのつなぎこみでかなり効率化をすることができました。ですのでロジスティクスに関わる方もパートさんに協力いただいており、一件あたり発送するのにかかってる人件費は現在150円〜200円で、この数字は発送機能を外注した場合の価格と変わりません。
スケール感に問題はないと
ギフトの複雑なオペレーションを織り込んだ上で、このコスト感で対応できていることにはかなり自信を持っていて、繁忙期で1日あたり1200件の送付に対応できています。
ありがとうございました。

ーーTANPの話題とギフティは贈り物の文脈は同様でも「リアルなモノ」があるかないかで大きく異なります。電子チケットはスケール感はあるものの、やはり手触り感にはどうしても欠けてしまう一方、現実のモノを扱えば、それだけオペレーションコストがかかってしまいます。TANPはシステム開発に相当力を入れてその辺りの最適化に成功したとお聞きしているので、その辺りの評価が今回の大型調達に繋がった理由なのでしょう。
U25起業家の新たな注目株、今後が楽しみです。
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