今月上旬、中国がビデオ会議サービス「Zoom」の世界版へのアクセスをブロックしたため、中国国内ユーザは Zoom の中国版に徐々に移行している。
重要視すべき理由:テクノロジーと貿易をめぐる中国とアメリカの争いが激化する中、中国がアクセスをブロックする米系インターネットサービス企業の長いリストに Zoom も加えられた。Zoom へのアクセスがブロックされることで、ビデオ会議サービス業界で中国系企業のビジネスチャンスが広がる可能性がある。
- 調査機関 CCW Research(計世資訊)のデータによると、2018年の中国のビデオ会議市場規模は31億人民元(約470億円)で、前年比で36.2%と急増している。
- ビデオ会議市場に参入している中国系企業には、深圳証券取引所に上場している BizConf Telecom(会暢)や XYlink(小魚易連)などがある。
- 中国本土のユーザは9月8日から Zoom が使えなくなったことに不満の声を挙げ始めている。
- Zoom によると、同社の主なビジネスチャンスは国外にあるとのことだが、2019年7月31日までの6ヶ月間の収益のうち、中国国外のものは20%に過ぎない。
Zoom のコミュニケーションマネージャー Priscilla Barolo 氏 は、TechNode(動点科技)に次のように語った。
Zoomのウェブサイト、ミーティング、ウェビナーは現在、中国でアクセスできなくなっています。引き続き調査を行いますが、原因は中国の現地 DNS(ドメインネームシステム)に接続できないことによるものだということがわかっています。
詳細情報:中国国内の Zoom ユーザはパートナー企業 Huawan Telecom(華万)が運営する現地版に移行し始めている。
- 現地メディアによると、Huawan はブロックの前に通知を受けており、同社の従業員は職場のコミュニケーションが通常通り行われるように現地版に切り替える必要があったという。
- 国際的な緊張の高まりと、目前に控える中国建国70周年がブロックの理由だと中国メディアは報じている。
- Zoom をコミュニケーションツールとして使用しているサードパーティ製アプリも、安定した接続のために現地版に切り替えるようユーザに呼び掛けている。
- 業界関係者が中国メディアに語ったところによると、Zoom が現地の法律を遵守していなかったのもブロックの原因かもしれないという。中国では、現地企業向けコミュニケーションツールを国内サーバー上で運用する必要がある。情報提供者によると、中国は Zoom の国内サーバーを確認できなかったという。
背景:2013年に設立された Huawan Telecom は上海に本拠を置くビデオ会議サービス企業だ。
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