注目集まる「暗号資産カストディ」サービス、ベルリン拠点のFinoaが資金調達

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Image Credit : Finoa

ピックアップBerlin-based Finoa closes multi-million seed funding to transform the digital asset sector

ニュースサマリー:ベルリンを拠点とする暗号資産カストディ・スタートアップ「Finoa」がシードラウンドにて、Venture Starsやcoparion、Signature Ventures、Serial-Entrepreneur Frank Geßnerなどから数百万ユーロの資金調達を実施したことを発表した。

同社サービスは、機関投資家(アセット・マネジメント、VC、ファミリー・オフィス*)や富裕層、企業向けにカスタマイズ型の暗号資産カストディ(保管)サービス。顧客に代わり、暗号資産を安全に管理し、かつ簡単に入出金可能な使いやすい設計となっている。

※ファミリー・オフィス=超富裕層向け資産運用ビジネス

共同創業者であるChristopher May氏は、同調達に関して以下のようにコメントした。

Venture Starsやcoparionなど、経験豊富なベンチャーキャピタル企業から資金を調達できたことを非常に誇りに思っています。 Signature Venturesのようなブロックチェーン特化ファンドからの追加調達は、Finoaがデジタル資産分野の主要プレーヤーとして認識されていることを強調しています。

話題のポイント:近年、度重なる暗号資産の喪失・ハッキング問題への対抗策として、カストディ・サービス(資産管理代行)の必要性が叫ばれています。

暗号資産を安全に保管する責任は何も暗号通貨取引所だけでなく、顧客から暗号資産を預かり運用する機関投資家にとっても重大です。上述の各ビジネスにとって、暗号通貨システムにおける安全かつ便利な秘密鍵管理体制の構築は技術的ハードルが高いため、カストディの必要性が存在しているのです。

盤石なカストディによって安全な資産管理が約束されることで、顧客企業が提供するブローカー業務、トークン化業務、レンディング、ステーキング、投資・資産運用代行サービスの成長は更に加速していくことになります。

Finoaは2018年に創業されました。2019年にサービスを開始して以降、累計60以上のヘッジファンドやベンチャー・キャピタルに対しカストディ・サービスを提供しています。2020年1月1日、ドイツ連邦金融監督庁(BaFin)による「暗号資産及び暗号資産カストディ・プロバイダー規制」が施行されましたが、同社は今年11月までに同ライセンスの認可を取得する予定です。

同社が公開するリサーチ資料によれば、2027年までに、世界のトークン化アセットの市場規模は24兆ドル(2400兆円)にまで拡大する見込みだと言います。世界経済フォーラム(WEF)やマッキンゼー、デロイトによる予測「2025~2027年時点で、世界のGDPの10%はブロックチェーン技術により保管・処理される」を参考にした形で算出されていると言います。

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Image Credit : Finoa

トークン化アセット規模は10年以内に24兆ドルと主張される一方、リサーチが行われた時点(2019年)では0.3兆ドル程度しか存在していません。また、0.3兆ドルはBTCを中心として既存の暗号通貨です。

技術の進歩と規制動向を正確に予測することは難しいため、実際に同統計通りの成長を描くかについては疑問が残ります。ただ、将来的には現時点で既に実用段階に入っているSTOやETO、そしてステーブルコインなどの発展によって、市場は間違いなく拡大するでしょう。

ドイツは暗号通貨規制を世界でも先駆けて改革している国で、STOの規制改革の足取りも早く、既にいくつかのプロジェクトがBaFinの承認を受けプロジェクトを運用しています。その意味で、同じくドイツ市場で展開を試みるFinoaの必要性も、今後着実に増加していくのではないでしょうか。

<参考記事>
ブロックチェーンベースのIPO「ETO」に成功した「Neufund」が変える資金調達の未来

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