
ピックアップ:Here’s how Amazon’s rumored pay-by-hand tech could work
ニュースサマリー:アマゾンは同社が独自に開発を進める「手のひら払い」システムを一般リテール向けに導入展開を進める考えであるとWSJが報じている。アマゾンは、昨年12月26日に米国特許商標庁へ生体認証デバイスに関する申請資料を提出していた。
同システムは生体認証デバイスにより、「手のひら」とクレジット・デビットカードの情報を結びつけるというもの。WSJによれば、アマゾンは同技術をクレジットカード会社と協力し個人情報保護の扱いに注力し開発を進めているという。
話題のポイント:アマゾンがインターネットから実店舗へ誘導させるOMO(Online Merge Offline)戦略に注力していることは、AmazonGoやWhole Foodsを例にとり、以前ご紹介した通りです。
特許資料には、自動コンビニAmazonGoの開発に大きく関わっているとされるメンバーの記載があるため、同店舗への導入可能性が高いと報じられていました。
それとは反して、アマゾンは同技術を第三者店舗への導入を進めるのではと言われています。もちろん、アマゾン運営の店舗へ導入がないとは言い切れませんが、新しいデータポイントを獲得するという意味では効率がよさそうなので納得のいく方向性でしょう。
実はAmazonGoでは「手のひらPay」と類似した決済方法を実現させています。入店の際にAmazonアカウントと連携させたQRコードをAmazonGoアプリで表示させ、改札を通る方法です。

ここで注目したいのが同じAmazon傘下のスーパー、Whole Foodsです。今でこそ支払いは伝統的なレジを通したペイメントのみですが、データポイント獲得のためにプライム会員限定の割引を獲得するため、レジでQRコードをスキャンするワンステップが始まっています。
現時点では支払いはAmazonアカウントに紐付いていませんが、もし、この「手のひらPay」が実現すればWhole Foodsのような既存店舗でも、限りない無人化にも繋がる可能性が見えてきます。
もちろん、Whole FoodsではAmazonプライム会員以外も利用可能なため、完全無人化は適してないと思いますが、プライム会員限定向けの無料配達サービス同様、会員向けのリッチな支払い体験を提供することは容易に想像ができます。
さらにAmazonが「手のひらPay」を全くテクノロジーとは結びつきのない店舗へ導入することができれば、AmazonGoやWhole Foodsで得られるデータとは分離したサンプリング層からデータの抽出をすることも可能となります。
今年のCESでAmazonは「Alexa, pay for gas」を発表し、スマートスピーカーを通したペイメントの拡張を明らかにしています。
Amazonといえば「ワンクリック」で一斉を風靡したいわば、支払い体験の王様です。
これまでの自社ブランドのペイメントシステムに加え、「手のひらPay」によるリテール市場、さらにスマートスピーカーという音声市場など、あらゆる支払いのゲートウェイを押さえにかかっている同社戦略の輪郭が浮かんできました。ここから得られるデータは莫大です。
これらを組み合わせて、OMOのUX体験はどう変わるのか、大変興味が湧いてきます。
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