
日本の通信キャリアは当初、2020年7月の東京オリンピックに合わせて5Gネットワークを提供及び展開する予定だったが、貿易戦争や世界的な5G熱の高まりの影響によって、その提供範囲やスタート時期が不確かなままとなっていた。しかし今週、オリンピック自体が新型コロナウイルスの影響を受け延期を余儀なくされた一方、日本のトップキャリアは夏を待つことなく5Gサービスの提供を開始することとなった。
KDDIは3月26日から日本の15都道府県の一部で「au 5G」ブランドのサービスを提供すると発表している。同キャリアによると、夏までに47都道府県すべての主要都市でサービスを提供し、2021年3月までに5G基地局を1万局に拡大し、2022年3月までに2万局を設置する予定だ。
中国のHuawei、小米科技(Xiaomi)、ZTEはもちろんのこと、Samsung、LGなどの韓国ブランドの台頭により、世界のスマートフォン市場における日本の重要性は薄れている。しかし、シャープがKDDIの発売に合わせてAquosモデルを発売したり、ソニーが5月にXperiaの販売を計画していたりと日本企業のシェア争いは続く。SamsungのGalaxy S20 5GがKDDIの最初のスマートフォンとなり、7月にはOppo、小米科技(Xiaomi)、ZTEからも発売が見込まれる。
スマートフォン以外にも、KDDIは5Gを利用したAR(拡張現実)技術を日本社会に普及させるという壮大な計画を進めている。具体的には、渋谷での攻殻機動隊のARウォークや、東京都内のスポーツ、お笑い、舞台などでARを使ったパフォーマンスを楽しむことができる。また、Nreal社と共同でAndroidフォン向けのARメガネ「Light」を展開しており、Spatial(空間)アプリを使った「ホログラフィック」な共同作業やソーシャル体験などを提供する。
一方、ライバルの NTTドコモはKDDIに先駆けて水曜日に29都道府県で5Gサービスを開始している。ソフトバンクは金曜日に7つの県で小規模な5Gサービスを開始し、追加料金として1,000円(約9ドル)を請求する予定だが、顧客が8月末までに契約すれば2年間はこの料金を免除する方針だ。
これらのローンチ計画が、東京オリンピックのために行われてきた長期プロモーションの影響を受けるかどうかは不明だ。報道によれば、関係者は当初オリンピックの延期またはキャンセルに対し消極的な姿勢を取っていたという。しかし、オーストラリアやカナダなどの国が不参加を公表するにつれ、彼らも同様に2021年への延期を検討しはじめたらしい。同イベントは、5Gスマートフォンと8K映像技術のほか、高精細度カメラ及びディスプレイなどの日本の関連技術を世界に向けてアピールする良い機会だとされていた。
【via VentureBeat】 @VentureBeat
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