新型コロナ収束後、投資はどう変わる?

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Image credit: Pixabay

本稿を寄稿してくれたMike Abbaei氏は投資ファンド「Naples Technology Ventures」の共同創業者

COVID-19の大流行は、今後数十年にわたって社会や経済に影響を及ぼし、予測が可能なことを前提として回っていた社会のしくみを変えてしまうだろう。常に変化すること、これは現時点では多くの人々にとって脅威だ。今回のようにグローバルな危機では特に、その後の人々の相互作用、ビジネスの相互作用、ビジネス運用、ビジネス行動、ヘルスケア、規制環境、セキュリティなどが必然的に変化するだろう。

例えば9.11。混乱が落ち着いた後、航空交通、航空券の予約・発券、荷物の取り扱い、空港及び飛行機のセキュリティ、TSAロック、さらにはフードサービスと、人々の移動方法から機内の調理器具に至るまで大きな変化が生じた。国土安全保障省が創設された以外にも、政府による監視や国内外での安全対策にも影響を及ぼした。

新型コロナウイルスによる景気後退の影響力は、通常なら何年にもわたって徐々に進行していくべき変化を、ほんの数カ月に凝縮してしまう。この変化には痛みのみならず、進展も伴うだろう。VCの投資に関しては次のような変化がみられる。

価値に対する影響

いま、起業家と投資家がもっとも気になることは、当然ながら、この不況が企業価値にどう影響するかということだ。答えは簡単、資金を求める民間企業にとっては予想通り残念なものとなり、評価額は全体的に1年前と比べて30%〜50%も下がる恐れがある。極端に保守的な時代の訪れだ。公開市場は大打撃を受けて風化し、あらゆる民間投資市場にも影響するだろう。ここ数年は公開市場も経済も急速に成長しており、投資哲学は「企業にやさしい」ものになっていた。しかし今後は、少なくとも成長率が近年のレベルまで回復するまでは、「投資家にやさしい」ものとなるだろう。

起業家も経営陣も、投資家からの評価額が厳しいものになることを認識しなければならない。これまでよりも資金が流れにくくなる。しかし、この締め付けへの対抗策も考えられる。経験豊富なVCによる投資への積極的な関与と手引きだ。時代が保守的になれば、VCはより一層本腰を入れて投資の背後にある戦略や意思決定に関与するようになる。このことは、より少ないリソースでより多くのことを行うことを使命とする起業家世代にとって歓迎すべき手引きとなるだろう。

リーンへの回帰はスタートアップの運営そのもの

評価額が下がれば、VCから難問、特に、企業の収益ストリームの安定性、キャッシュの管理方法、収益化する道筋の明確さといった問題を突きつけられることになるだろう。速いキャッシュバーンに加えて、まだ経済的に成功を収めるタイミングや方法を掴めていない企業に長期的に投資する時代は終わった。ビッグアイデアだけでなく、賢明な財務管理が必要だ。VCはその両方を適切に兼ね備えた企業を理想として探し求めている。

VCは突発的な困難を乗り切る能力を持つ新たなビジネスをより一層評価するようになるだろう。少額を前払いするサブスクリプションのように、定期的な収益に基づくモデルはかつてないほど魅力的だ。これはレンタルスクーターのスタートアップからの教訓だ。

何百万米ドルもかけた設備が街の通りに並べられているが、それを支えているのは予測不可能な非経常収益であり、しかもほぼ枯渇している。投資家がいつも同じ道をたどるとは思えない。今は適者生存の時代だ。キャッシュに余裕のあるリーン企業はこの嵐を乗り切れるだろう。しかし肥大化し金遣いの荒い組織は無駄を削ぎ落とさなければ店じまいするしかない。

ビジネスモデルを効果的にする上で新たに求められるもの

当然ながら、2020年後半以降、特定のビジネスモデルが他よりうまくいくだろう。この10年間は、ブランドとの関係を再定義するディスラプティブで消費者志向のビジネスが主流だったが、今後10年間は、人間どうしのつながりが取引の中で果たす役割を考え直し、効率、適応、持続可能性を優先する時代になるだろう。

現状ではeコマースビジネスが明らかに勝者として浮上しているように見えるが、消費者が生活必需品の確保に急いでいる今、WalmartやTargetなどの従来の小売業者もまた、オンライン事業へとスケールするチャンスを得ている。デジタル化に乗り遅れた者たちも含め、これらの企業が消費者に提供するオプションが新たな標準を生み出すだろう。サプライチェーン内の敏捷性も、消費者と投資家の両方にとって非常に優先順位の高い要素になる。

これからの企業には、今回のパンデミックによって生じるであろう新たな消費者行動を予測することが不可欠だ。対面式のイベントや会議からZoomなどを使ったオンラインでの開催への大幅なシフトについて考えてみよう。その多くは短期的な生存戦略ではない。多くの人々が、その効率性を享受し、新しい行動が生み出されている。投資家が重要視する新たな社会規範になるだろう。消費者が小売業者や専門家よりもオンライン取引の大切さに気づき、オンラインへの移行が進むにつれて、ヘルステック、インシュアテック企業は通信業以上に成長するだろう。

これらの業界だけでなく、SaaSプラットフォームがパンデミック後の投資状況で優位に立つだろう。なぜなら経常収益を得られ、かつ迅速にスケールできる利点があるからだ。原理的にクラウドベースなので、通常リモートで運営され、非接触的な方法でビジネスを行っている。これは現在だけでなく将来的にも大きな利点となる。

新たな規範にふさわしいニッチなテクノロジーを提供する新規参入者が市場に現れることは疑いの余地がない。在宅勤務、リモートアクセス、新たなセキュリティ、健康対策、遠隔医療、非接触型の決済や取引、あらゆる種類のバーチャルショールーム、バーチャルな旅ーースタートレックのような移動手段さえも!

多くの企業がパンデミックとその後の景気後退に取り残されようとしている。現実から目を背けて進化に失敗した企業は特にだ。しかしどんなに景気が低迷していても、優れた企業は必ず頭角を現すし、投資家はパンデミック後の消費者や企業のニーズに応える準備ができている新世代の企業と手を結ぼうとするだろう。今はただ待ちの姿勢でいるべき時ではない。未来に向けてマインドセットとモデルを再考すべき時だ。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

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