デザインの10年「Decade of Design」がはじまるーーa16zがFigmaに出資したその理由

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ピックアップ:Investing in Figma: The Decade of Design

ニュースサマリー:デザインコラボレーションツール「Figma」は4月30日、シリーズDにて5000万ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家はAndreessen Horowitz(a16z)が務めている。また、既存投資家のIndex、Grevlock、KPCB、Sequoia、Founders Fundも参加している。

同社はクラウド型でUIデザイン・プロトタイプの共同作業プラットフォームを提供している。また、2017年にはスマートフォンアプリ向けに、アプリデザインを直接デバイスから確認できるミラーアプリ「Figma Mirror」もリリースしている。

話題のポイント:デザインコラボレーションツールの老舗、「Figma」がユニコーン入りを果たしました。今回のラウンドをリードしているa16zからは、同社パートナーであるPeter Levine氏が担当を務めています。2010年から投資活動を開始し、2012年には当時a16zとしては最多となる1億ドルをGitHubへ投資実行した人物です。

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彼は投資理念として「古いテクノロジーを再発明し、新しく全く違うカテゴリーを生み出す起業家・企業」を持っているそうです。GitHubはまさにそのケースで、既存のソースコード管理手段をそのカテゴリーごと再発明し、新しいモデルを作りました。

ブログの中で「(GitHubの概念は)クラウド管理によりコードへのアクセスやソーシャル性が劇的に向上されたが、それ以上にコード中心な概念から『人』を中心にプロジェクトが組織される変換点となった」との考えを示しています。こうしたコードの「再発明」と共に歩んできた道のりを同氏は「Decade of Code」と表現していました。

そしてこのGitHubがコードとの関係性の再発明であったのに対し、Figmaはデザインとの関り方の再発明を目指すことになりそうです。それが出資を公表したブログのタイトルにもある「Decade of Design」の考え方です。

「今までプロダクトや企業は、コードによって生きるか死ぬかを彷徨ってきた。しかし、今ではプロダクトにおけるデザイン理念やリテラシーが重要な要素へと変わりつつある」(Peter Levine氏・a16zブログより)。

ここ近年はすでにコードで戦えて当たり前、プロダクトの勝負はユーザーの心に響く「デザイン理念」なくしては語れないようになっていました。この点に関しては、今回出資を受けたFigmaも昨年末に2010年からの10年でいかにデザインの概念が進化を遂げたかについて次のようにまとめています。

  • モバイルデバイスへの大幅なシフト、誰でもスマートフォンを持っている時代へ突入
  • ビッグデータによる、UIへのA/Bテスト導入
  • iPhone市場投入による、独自のUI/UX戦略
  • テック企業におけるデザイナー需要の大幅な増加(10年間で約250%の需要増!)
  • 需要は増えて存在意義の浸透は格段に進んだ、しかしこれからの10年はより一層デザイナーの存在感や表に立つ機会が増えるだろう
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Image Credit : “The Decade of Design”: How the last 10 years transformed design’s role in tech by Figma

上図データは、過去10年間における6社のデザイナー比率を表わしたものだそうです。どの企業においても、格段にデザイナー比率は上がっており、平均して7人に1人程度まで増加しています。そしてこれまでの過去10年は同社のようなクラウド型ツールなどでデザイナーの立ち位置を整えた時間であり、今後10年については、さらにデザイナーへの価値が高まることになると予測しています。

a16zによるFigmaへの出資は、これまで重要だったデザインがさらに重要になるであろう、トレンドのターニングポイントになるのではと感じています。

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