各国の労務に対応、国境を超えたリモートチームをひとつにする「Deel」a16zが出資

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ピックアップ:Investing in Deel

ニュースサマリー:リモートチーム向け給与支払いシステム「Deel」は21日、シリーズAにて1400万ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家はAndreessen Horowitz(a16z)が務めた。

Deelはリモートで働くチームに特化した給与支払い・管理システムを提供するスタートアップ。各国ごとに異なる税制・コンプライアンスなどをビルトインで対応する。価格は月額ごとの課金制で、チーム1人当たり35ドルとなる。また、現段階で110カ国に対応している。

話題のポイント:Y Combinatorのアクセラレータープログラムを昨年卒業したDeelは、既に400社のクライアントを獲得しているとされています。国境を越えた「リモートチーム」向けのプロダクトということもあり、既存ユーザーは主にスタートアップで占められているそうです。

今までインターナショナルなチームを作ろうとすると、各国のレギュレーションに沿った契約~支払いフローを整える必要がありました。特に複数の国ごとに対応しようと思うと、それだけコストが積み重なるため、リモートチームの国際化が難しい状況にあったといえます。

Deelでは、そうした各国ごとに異なる労働法に沿った仕組みをSaaSとして提供しています。契約に渡るKYCに必要な公的資料も一般化されているものでなく、各国ごとに分類されており、採用する企業のバックオフィス側としてもマネジメントの簡潔化につながっています。

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また、同社プラットフォームでは各国に散らばるメンバーに対する支払いもシームレスに実施することが可能です。契約と同時に支払日の設定が可能で、クレジットカード、PayPal、ACHやワイヤートランスファーの送金オプションを選択することが出来ます。受け取り側はPayPalまたは銀行送金を利用して、自国の通貨で受け取りが可能です。

Deelはビジョンに「Give your global team a local experience」を掲げており、国境を越えた「会社」の一般化を目指しています。つまり、現段階では、まさにチーム作りの核と言える契約・支払いにフォーカスしていますが、今後は保険や福利厚生など今までは「その場・その環境」にいなければ得られなかった体験もボーダレスにしていくということだと考えます。

実際に同社では、企業側がグローバルなチームへ福利厚生を導入しやすいような仕組みづくりを既に始めていることに加え、COVID-19によりオフィスの必要性が再度問われている社会のトレンドは追い風となるでしょう。

CB Insights: The State of FinTech 

さて、CB Insightsによれば、2020年Q1におけるフィンテックスタートアップの資金調達額はYoYで37%減の61億ドルへと下落しているというデータを公開しています。これは、2017年以降のQ1では最も低い調達総額となっており、COVID-19によるフィンテック業界へのインパクトはそれなりにあったことが分かります。

しかし、DeelはまさにこのタイミングでシリーズA・1400万ドルを調達しました。フィンテックスタートアップの中でも社会性に大きく沿った事業内容とVC側から理解されているのでしょう。確かに社会では「ニュー・ノーマル」が問われ続けており、それが定義されるにあたり「労働環境」は一つのファクターとして大きな役割を持つことになります。

そのため、新しい働き方をトライアルしていくためにも、コンプライアンスに沿った労働契約のインフラは必要不可欠であり、まさにDeelは短期的にも長期的にも中心的なプラットフォームとして機能する可能性が高いと言えるのではないでしょうか。

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