中国本土向けプレステストア、〝システムセキュリティ上の理由〟で閉鎖ーー中国政府が関与か

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「王者栄耀」をプレイする Vici Gaming(VG 電子競技俱樂部)のプロゲーマー。
Image credit: TechNode/Shi Jiayi

日本のゲーム大手ソニーは10日、〝システムセキュリティ上の理由〟で中国の PlayStation Store のサービス提供を停止した。

重要視すべき理由:中国は海外ゲームに対する規制を強化している。今回の停止命令は、EC プラットフォーム「Taobao(淘宝)」上からの「あつまれ どうぶつの森」削除や、海外ゲーム開発者が中国でゲームライセンスを取得する上での Apple App Store の抜け道の閉鎖などに続く当局からの規制措置である。

  • ソニー PlayStation の中国版ユーザは、デフォルトではゲームのダウンロードやアップデートを中国ストア上でしか行えない状態になっていた。しかし、一部のユーザはこの制限を回避して香港ストアにログインする方法を見つけている。
  • 政府が開発者に対しライセンスの取得を義務付けていたため、中国の PlayStation Store には、10日の時点では124本ほどのゲームしかリストされていなかった。一方で、香港ストアには11日の時点で4,633タイトルがリストされており、かつ中国本土で使われる簡体字でのインターフェースを提供している。

詳細情報:ソニーは、中国のソーシャルメディアプラットフォーム「Weibo(微博)」で、サービスの停止は10日午前7時に開始され、サービス再開の予定はないと発表した。

  • この投稿に対して反発を抱くユーザーは多く、中国のゲーム規制の厳しさに関して Weibo 上でさまざまな批判が飛び交った。
  • 中国のゲームニュースアウトレット「3DM Game」の報道によれば、Playstation の中国ストアの停止は、「ソニーの Playstation が無検閲で中国人ユーザによるゲームダウンロードを可能にしている」という当局への報告が相次いだ結果であると考えられているという。
  • 3DM Game によると、中国文化和旅遊部の〝垂れ込み〟サイトに関する報告に、あるユーザから次のようなコメントが投稿されていたものがあったという。

ゲームの種類によっては、暴力やポルノ、近親相姦に関連するコンテンツが含まれており、10代のユーザーに対し教育上大きな害を与えかねません。私は文化当局がそれらを完全にブロックすることを願っています。

  • 出版物、映画、文化に関連する産業を規制する同部(日本の省に相当)が、ソニーによる中国Playstation Store 閉鎖という決定に直接的に関わったかどうかは未だ不明である。同省には11日にコメントを求めるメールをしたが、返信は得られていない。

背景:中国が外国製ゲーム機の販売を解禁した後の2014年、ソニーは中国市場でのPlaystation 販売を開始した。

  • Alibaba(阿里巴巴)のオンライン市場 Taobao は先月、日本のゲームメーカー任天堂の人気ビデオゲーム 「あつまれ どうぶつの森」の現物販売を停止した。規制上の理由から、任天堂の中国ゲームストアでの販売は禁止されていた。削除の数日前には、香港の親民主主義活動家が島の「あつまれ どうぶつの森」に反政府的なメッセージを投稿し始めたとBloomberg が報じている
  • 2月には、人気の感染シミュレーションゲーム「Plague Inc.(瘟疫公司)」は、中国で新型コロナウイルスの流行が激化する中で同国のアプリストアから削除された

【via TechNode】 @technodechina

【原文】

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