絶対に消されないブログ「dBlog」が示す、検閲耐性の重要性

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Image Credit : Unstoppable Domains

ピックアップDecentralized blogging is coming to a URL near you thanks to a partnership between Unstoppable Domains and Protocol Labs.

ニュースサマリー:サンフランシスコを拠点とするブロックチェーン企業Unstoppable Domainsが新しい分散型ブログサービス「dBlog 」をリリースした。dBlogを一言でいえば、政府や企業など、どんな主体でもコンテンツを取り消すことが不可能な、検閲耐性のあるブログプラットフォームである。Unstoppable Domains共同創業者のBrad Kam氏は以下のように述べる。

誰もそれを取り消すことはできない。検閲耐性のあるインターネットが利用可能になってきている。我々はやがて、多くの物議を醸すような、一部の世界からは許し難いような多くのコンテンツの誕生を目にするだろう。

本プロダクトは、同社の”.crypto”と付くドメインサービスとProtocol LabsIPFSと呼ばれる分散型ファイルシステムを基盤に成り立つ。(※詳細は後述)

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Image Credit : Unstoppable Domains

ウェブ上の検閲耐性の重要性

話題のポイント:dBlogは、Mediumやnoteのようなブログサービスが検閲耐性を持った状態を想像すると分かりやすいでしょう。一般的な文章や画像、音声、ビデオを挿入可能で、その内容はどんな理由があろうと消されることがなく、全て永久に残り続けます。

メリットを感じるか否かは個々の利用者次第です。一般的なライターやブロガーが同プラットフォームを便利だと感じるかには疑問が残ります。しかしジャーナリズムの観点で、検閲耐性のあるコンテンツプラットフォームは重大な力を発揮します。

トルコ政府が2017年から今年初めの3年間、インターネット百科事典Wikipediaを完全にブロックしていたことをご存知でしょうか。理由はWikipedia上にトルコとISISとのネガティブな関係を示す情報が記載されていたこと、そしてトルコ政府による消去依頼にWikipediaが応じなかったという一連の騒動を発端としています。

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2017年2月~5月の、トルコ国内のWikipediaページビュー。  Image Credit : Wikipedia

ISISとの関係の真偽に関してはここでは触れませんが、結果的に、トルコの憲法裁判所は政府によるWikipediaのブロックを人権侵害として違憲と見なしました。つまりトルコでは現在、Wikipediaは問題なく利用することができます。

Wikipediaが取り消しに応じていれば、政治的な力によって事実がねじ曲げられ、その認識が広まっていた可能性もあります。より根本的には、政治的な力によって、トルコ国民がWikipediaを通した広大な知へのアクセスを遮断されてしまったという事実は大きな問題です。

世界では様々なジャーナリストが政治や企業の腐敗を暴き、インターネットを通してその情報を拡散しています。しかし時に政府の力によって、彼らの公開した情報は検閲され、抹消されることがあります。

dBlogの技術的仕組み

dBlogのコアバリューはその点にあります。コンテンツが永久に残り続けるという代償を払う代わりに、検閲やバンされる心配がなく、表現/報道の自由が保護されるという点を根本的な価値としています。

Unstoppable Domainsのドメインサービスの役割は主に二つで、一つ目は暗号通貨送金におけるDNS(Domain Name Service)になることです。ユーザーが考えた特定の文字列を実際の暗号通貨アドレスに紐づけることで、より簡易的な、人間が理解・記憶可能な暗号通貨アドレスを作成することができます。

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Image Credit : IPFS

二つ目はより現行のDNSに近く、「.crypto」ドメインのウェブサイトドメインの作成及び提供で、こちらの仕組みを通してdBlogの各サイト及びコンテンツは管理されます。一般的なウェブサイトとの違いは、.cryptoドメインがついたウェブサイトの情報は全てP2PのストレージネットワークであるIPFS上に保存されるという点です。

IPFS上に保存した情報は、断片化及び暗号化された状態で、世界中に散らばるコンピュータ(ノード)が保存することになります。一つのサーバで管理されたデータではないため、例えアップロード主であっても、現実的に完全な削除を実行するのは困難だとされています。

IPFSはブロックチェーン技術との親和性が高く、実は様々なプロジェクトで、容量やセキュリティ上の理由で、ブロックチェーンに保存できないデータを保存する場所として用いられています。

<参考記事>

さて、暗号通貨アドレスやウェブサイトの名前に代わるドメインに、クライアント/サーバ型ではないファイルネットワークなどの発展を見ていると、何かウェブのあり方が大きく変わっていくような予感がします。

ブロックチェーン技術を含めて、これらの技術は現時点では未発達な領域ですが、今後の進展次第では、既存のネットジャイアントが支配するウェブに新しい変化をもたらす可能性があります。