
ピックアップ:Vara raises $7 million for AI tool that spots early signs of breast cancer
ニュースサマリー:乳がんのスクリーニングを行うAIシステムを開発する「Vara」は6月2日、OMERS Venturesが主導するシリーズAラウンドで700万米ドルを調達した。この資金は欧州でのさらなる事業拡大と、同社のデータストアの新たな開発に充てられ、臨床的な成果の向上を目指す。本ラウンドには、ドイツのデジタルヘルスのパイオニアであるMerantix、Think.Health、Soleria Capital、シリコンバレーを拠点とするPlug and Playが参加している。
詳細:同社は2018年、AIのベンチャースタジオであるMerantix社の支援を受け、CEOのJonas Muff氏とCTOのStefan Bunk氏が共同でベルリンにて創業。同社プレスリリースによると、これまでに1,057万米ドルを調達している。
- Varaは撮影したマンモグラフィの画像をフィルタリングすることで、放射線科医が緊急で複雑な症例に集中できるようにする。撮影する画像は膨大な数に上るため、マンモグラフィの解析には時間がかかるが、97%は異常がないものであるという。
- Varaは、こうした乳がん検査のプロセスにおける医師の作業負荷を大幅に軽減し、検査数を増やしてより多くの乳がん早期発見を目指していく。

- 同社プレスリリースによると、Varaには250万枚の画像からなる世界最大級の乳がんデータの機械学習が搭載されているという。また、Varaの技術はEUの医療機器の基準を満たすことを示す「CEマーク」を取得しており、ヨーロッパに拠点を置く15のスクリーニングセンターで年間25,000~50,000件のマンモグラフィを実施しているという。
- Jonas氏はVentureBeatの取材に対し「現在Varaはヨーロッパで利用可能であり、ロックダウン中に検診がキャンセルされた女性にも、タイムリーな検診を提供できる」と語っている。
- 日本では、痛みの少ない乳がん検査装置を開発する「Lily MedTech」が、5月12日にシリーズCラウンドの増資を公表している。
背景:WHOによると、乳がんは女性のがんの中で最も一般的で、毎年210万人の女性が診断されている。2018年は62万7,000人の女性が乳がんで死亡したと推定され、全てのがんの死亡者のうち15%を占める。
- Cancer誌の2020年の報告書によると、スクリーニング検査を受けることで、診断から10年以内に乳がんで死亡するリスクは41%減少するという。
- 日本においても、国立がん研究センター「がん情報サービス」(最新2017年のデータ)によると女性の罹患数が最も多い部位は「乳がん」であった。さらに、平成30年度の厚生労働省「人口動態」において「乳がんの死亡率は上昇傾向」とされている。
執筆:平理沙子(Risako Taira)/編集:平野武士・岩切絹代
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