不動産仲介DX「CANARY(カナリー)」運営のBluAge、シリーズAで約3億円を調達——売買不動産にも進出、ヤフーと事業提携

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BluAge のメンバー。右から2人目が代表取締役の佐々木拓輝氏。
Image credit: BluAge

不動産仲介業者の業務オンライン化と部屋探しアプリ「CANARY(カナリー)」を運営する BluAge(ブルーエイジ) は30日、シリーズ A ラウンドで約3億円を調達したことを明らかにした。このラウンドに参加したのは、エンジェル投資家グループの Angel Bridge、東大創業者の会応援ファンド、SMBC ベンチャーキャピタル、個人投資家など。昨年6月に実施したシードラウンドに続くものとなる。

CANARY が提供するのは、賃貸不動産の仲介における内見業務や契約業務の一部代行サービス。賃貸不動産のオンラインポータルなどには、不動産業者が多くの物件情報を掲載しているが、物件の写真撮影や必要情報の集約など、掲載に関わる一連の業務に担当者が1日あたり数時間以上要することもザラ。また、消費者サイドから見れば、おとり物件が含まれるという問題もある。

CANARY では Web 上に公開された物件情報をキュレーションし公開。CANARY を訪れたユーザが希望する物件について内見を求めると、CANARY のスタッフが内見業務を代行する。賃貸不動産に住んだことのある人なら分かる通り、契約にあたっては客付の不動産屋(借主側)と元付の不動産屋(貸主)側が仲介してくれるわけだが、この際の客付の業務を CANARY が代行するわけだ。

Image credit: BluAge

昨年サービスが公開された段階では、CANARY は賃貸不動産の内見業務や契約業務の一部を個人エージェントに開放するという位置づけだった。いわば、不動産仲介のギグエコノミー化であるが、 BluAge の創業者で代表取締役の佐々木拓輝氏によれば、不動産仲介は営業上の知見や経験が重要で、ギグワーカーに業務を担ってもらうにはハードルが高いことがわかったという。

かねてから、BluAge ではこのエージェント機能を社内のスタッフが担う体制を敷いていたが、ギグワーカー展開が難しいことが判明してからは社内スタッフを一気に40名程度まで増やし、BluAge 自身が仲介業を営む体制に舵を切った。新型コロナウイルス感染拡大が追い討ちをかける形で、不動産仲介会社の DX 化(デジタルトランスフォーメーション)にも一役買っているという。

もともとは、オンラインからの顧客流入であっても、不動産仲介会社はまずお客に店舗に来てもらい、担当者が同伴して物件内見に出向き、その後、気に入ってもらえれば、店頭に再度立ち寄ってもらって契約、ということが多かった。

しかし、新型コロナで不動産仲介会社もお客もできるだけ接触を減らしたい、ということになった。CANARY には追い風になっている。内見業務や契約業務を CANARY が担うことで、全てがオンラインでのオペレーションになるので店舗さえいらない。

Image credit: BluAge

店舗が無い不動産仲介。これはもはやクラウドキッチンのようだ。CANARY を使った不動産仲介は、これまで新しく不動産業界で独立する人が多く採用する傾向にあったが、新型コロナが招いた新常態対応から従来からの事業者も多く参加し始めているという。

モバイルアプリの CANARY は正式リリースから約1年間の期間で16万件以上のダウンロード、2万件以上の内見依頼があった。これまでの賃貸版に加え、今月から同アプリ内で売買版を正式リリース。ヤフーと売買物件情報における事業提携を締結し、不動産ポータルサイト「Yahoo!不動産」が扱う約30万件の物件情報の CANARY への掲載を開始した。同社では、アプリの使いやすさを磨いてきたことが快進の一因に繋がっていると見ている。

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