
Image credit: 杭州市人民政府
Alibaba(阿里巴巴)傘下の Ant Group(螞蟻集団)は17日、中国初の電子印鑑ブロックチェーンアプリケーションプラットフォームが Ant Group の BAAS(Blockchain as a Service)を使用して構築され、杭州で稼働したとプレスリリースで発表した。
重要視すべき理由:公的な会社印は、中国の企業制度の礎石であり、契約書などの公文書を検証する上で必要なものだ。印鑑が偽造されたり盗まれたりすると、法人登記の盗難のような形で、誰かが企業に成り済まして行動することを許してしまう可能性がある。
- 電子印鑑は2015年から物理印鑑と同じ法的有効性を担っているが、標準化がほとんどされないまま、複数の異なる政府機関によって発行されている。そのため、電子印鑑の管理やトレーサビリティーが難しく、偽造リスクがあると Ant Group は述べている。
- その上、企業はいつ印鑑が使用されたかを記録しておくなど、面倒な事務作業をしなければならない。
このプラットフォームは、電子印鑑の真正性を不正操作ができないチェーンで保証し、企業における管理を大幅に簡素化すると思われる。 - この動きの一方、中国の有名な有名企業3社は公印を巡り争っているところだ。
詳細情報:杭州に拠点を置く企業であれば、プラットフォーム上からブロックチェーン社印を取得できる。政府系ポータルや Alipay(支付宝)で利用可能だ。
- このチェーンは、改ざん防止で信頼性の高い電子印鑑を提供する。
- このブロックチェーンプラットフォームは、浙江省の既存の電子印鑑システムだけでなく、Alibaba の地元である杭州のスマートシティプロジェクト「杭州シティブレイン(杭州城市大脳)」 とも連携する。
- このプラットフォームはまず、浙江省の省都である杭州で登記された企業のみが利用できるようになる。
背景:中国の習近平国家主席が2019年10月にブロックチェーンを称賛して以来、中国の地方政府は地方統治にブロックチェーン技術を推進してきた。
- 北京市は先週、国境を越えた貿易、不動産、銀行などの政府サービスにブロックチェーンを活用する野心的な計画を発表した。
- ここ数ヶ月間、物理印鑑は企業の権力争いの中心となっていた。世界最大のビットコインリグメーカー Bitmain(比特大陸)では、支配権を争う2人の共同創業者が、異なる印鑑で押印された文書を作成している。それぞれの創業者が、自分の印鑑こそが会社の意思を表すものだと主張している。
- 杭州はしばしば、都市統治におけるテクノロジーの導入で他の都市より先を走る傾向がある。これは杭州に本社を置くテック大手 Alibaba との提携によるところが大きい。
- Alibaba は2016年に杭州シティブレインを立ち上げ、得られたビッグデータは、法執行、交通管理、健康サービスなどの分野で利用されている。
- Ant Group は以前 Ant Financial(螞蟻金融)として知られていた Alibaba のフィンテック関連会社である。中国で最も人気のあるモバイル決済アプリ「Alipay」を運営しており、2015年からブロックチェーン技術に投資している。
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