受取請求書のAI自動処理SaaS「sweeep」運営、KVPなどから6,500万円を調達

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「sweeep」
Image credit: Automation Lab

AI を使った受取請求書の自動処理 SaaS「sweeep」を運営するオートメーションラボは25日、シードラウンドで6,500万円を調達したことを明らかにした。このラウンドには KVP が参加し、調達金額には金融機関からのデットファイナンスが含まれる。オートメーションラボにとっては初の外部資金調達。同社では調達した資金を、sweeep のリニューアル版開発やユーザ拡大に充てる。

オートメーションラボ(創業時の社名はドルク)は2011年、会計系コンサルティングファーム出身の村山毅氏(現代表取締役)により設立。当初は教育事業者向け教室運営システム「SCOOLISM」を開発していたが、その後2017年に事業売却。2016年からは BPO コンサルティング事業を展開している。そんな中で、請求書の処理業務を効率化したいという、顧客の声から生まれたのが sweeep だ。

請求書に関わる業務をデジタル化するサービスは多くあるが、村山氏によれば、その大半は請求書の発行・送付にかかるもので、一方、sweeep は請求書を受け取る側の業務フロー改善にフォーカスしている。請求書受け取りに関わる処理を AI を使った読取などで自動化し、100枚を3分で処理するプロダクトとして2018年12月にクローズドβローンチ。以降、大企業を中心にユーザを増やしてきた。

企業の経理部門においては、社外への発注担当者から回ってきた請求書を元に、実際に役務が発生したかどうか、発注書などのエビデンスと照らし合わせ、支払サイトに応じて振り込みする処理が発生する。sweeep では請求書から振込の元データ(全銀フォーマット CSV 形式)を作るまでを OCR を使って自動化、経理担当者の業務負荷を軽減する。コロナ禍では、発注担当者や経理担当者がテレワークしていることも多く、毎月発生する支払の請求について、発注担当者へ請求書を督促する機能などが重宝されているそうだ。

請求される側にとっては、取引先からの請求書が未着であれば、当初予定の支払日に振り込む必要はない、とたかをくくることができたのは従来までのこと。会計監査が厳しい大企業においては、役務に対する支払は、役務が発生した期内に請求書を処理することが求められる。取引先が請求書の発行を忘れていたり、発注担当者が請求書を自分の机に置き去りしていたりすることは許されず、このようなミスの防止をも sweeep は支援する。

sweeep にとっては、コロナ禍でテレワークが増えたことに加え、10月から電子帳簿保存法が改正され、経理業務のペーパーレス化への期待が高まっていることも追い風だ。2023年までに、政府や企業が請求書を完全に電子化しようとする動きもある

オートメーションラボではこれまで BPO コンサルティング事業などで売上が確保できていたことから、ブートストラップ的に sweeep を開発してきた。大企業ユーザが増え、PMF(プロダクトマーケットフィット)が完了したと判断し、ここから事業のアクセルを踏むべく初の外部資金調達に踏み切ったと説明する。現在は初期費用30万円、月10万円からのみのメニューだが、今後は、機能を細分化するなどし中小企業向けの廉価版の開発にも着手する。

sweeep は、今年1月に会計 SaaS の freee と連携。コロナ禍のテレワーク増加を受けて、請求書の取引先向けオンラインアップロード機能追加、先頃資金調達を発表した N の郵便物受取クラウド「atena」との連携を発表している。

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