Amazonも注目するトレンド市場「Luxury Commerce」ーー1.4兆ドルの贅沢市場を狙え(1/2)

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Image Credit:Tamara Bellis

新型コロナの影響で、世界的に消費が落ち込んでいます。なかでも贅沢品を扱う「ラグジュアリー・コマース」市場の影響は計り知れないでしょう。

ラグジュアリー・コマース市場は「車」「ホスピタリティー(旅行や宿泊など)」「個人向け高級品」の3つが、80%の規模を占めます。米コンサルティング会社のBain & Companyによると、2018年の世界市場規模は1.2兆ユーロ(約1.39兆ドル)で、年間成長率は5%ほど。ちなみに同年の高級車売上は4,950万ユーロ、ホスピタリティーは5%の成長、グルメは6%、豪華クルーズ体験は7%増だったそうです。加えてBusiness of Fashionの記事では、2019年の個人向け高級品市場規模を2,810億ユーロと試算しています。これは2000年の1,160億ユーロから倍以上の規模へと成長しています。

これが感染症拡大で一変しました。

The Wall Street Journalが伝える2020年第2四半期の車の販売台数は、前年比で34%落ちという大幅下落です。先ほど紹介したBusiness of Fashionの記事では2020年第1四半期の高級品売上も25〜30%減少するとしていますから、単価の高い高級車の売上も通常の車と同等に減っていると仮定すれば、ラグジュアリー・コマース市場の下落は全体で20%台を下回ることはないでしょう。結構な落ち込みです。

このように市場の勢いが衰えている今、Amazonが市場参入を果たしました。

9月15日、同社はAmazon Prime会員向けの招待制ECサービス「Luxury Stores」を開始したのです。Oscar de la Rentaの2020年秋冬ブランド商品の扱いからサービス展開を開始し、今後はRoland MouretやLa Perlaのようなブランドや新進気鋭のデザイナーブランドが追加される予定です。

Amazonらしい特徴が、買う前に高級品を体験できるAR機能「View in 360」です。選択した商品を360度フル回転させて見ることができ、自分に合ったものを見極めることができます。もし自分のサイズに合わないものを購入した場合は、30日以内であればほとんどの商品を対象に返品して全額返金することができるそうです。

今回、Amazonがコンセプトとしたのが「Store within Store」です。これは利用ブランド企業が在庫管理・品揃え・価格・顧客発見をよりデータ・ドリブンにコントロールできるプラットフォーム思考を指します。さらに、先述したAR機能を実装させることで、在宅でも顧客体験を最大化できるようにさせます。まさに川上から川下までを抑えたラグジュアリー体験をオンラインで実現させよう、としているのです。後半ではAmazonの思惑についてまとめます。(次につづく)

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