預金で「宝くじ」が貰えるYotta、新たなチャレンジャーバンクの座を狙う

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ピックアップ:Yotta Savings Banks On $3.3M Seed Round To Propel Prize-linked Savings Accounts – Crunchbase News

ニュースサマリー:新たなチャレンジャーバンクの座を狙う「Yotta」は9月30日、シードラウンドにて330万ドルの資金調達を発表した。同ラウンドに参加したのは、Slow Ventures、Funders Club、TwentyTwo VC、Chapter One、CapitalX、Y Combinator。同社は毎週一定額以上の金額を該当口座に貯金することで、「宝くじ」を引けるサービスを展開している。行動経済学に基づき、長期的に見れば預貯金額が最大化できる新しい銀行の形を目指す。

話題のポイント:同社は2020年春季のY Combinatorアクセラレータープログラムの卒業生です。最高で1千万ドルの賞金を掲げており、かなり業界の中でも挑戦的かつ若者世代の心を掴みにきました。Yottaの「掛け金」には預かりの貯金額に余裕を持たせてあると想像しますが、ユニットエコノミクス確立が実際にできるのかどうかは不明です。フィンテックに行動経済学を足し合わせた分野では、QapitalLemonadeが参入していることから、Yottaも巧みにユーザー心理をついた新興銀行のポジションを狙っていることが窺い知れます。

仕組みはシンプルで、まずユーザーは25ドル単位で利用している金融機関からYottaに対し振り込みをします。25ドルごとに「チケット(宝くじ)」を受け取ることが可能で、実際の宝くじのように7つの番号を選択します。数字の抽選は毎日7日間行われ、最終的に日曜日に該当週の当選番号が決定するという流れです。

選んだ数字とマッチすればするほど当選金額は上昇し、最大で1,000万ドルの賞金を獲得することが可能です。さらには、同社の預金金利は0.2%をベースとしています。そのため、Yottaに預金していれば金利での利回り+賞金獲得のチャンスを同時に獲得することができるのです。

Image Credit : GoBankingRates

2019年にGoBankingRatesが公開したデータによれば、回答した米国の69%の人の預金総額が1,000ドル以下という状況もあるようで、さらに貯金額5,000ドルまでレンジを上げると全体の80%以上というから驚きです。Yottaは宝くじで高額当選という、いかにも若者世代に特化した機能にも思えますが、こうした社会問題を考えると案外、効果的な施策であるのかもしれません。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆氏

 

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