韓国の「輝かしい」5G:MRコンテンツに耐えうる高いレイテンシ結果【RootMetrics調査】(2/2)

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上記に示されているダウンロード速度の中央値は4Gと5Gを合わせたものであり、純粋な5G接続の方が高速だ。Image Credit: RootMetrics

(前回からのつづき)ネットワークのリクエストから応答までに必要な時間を表すレイテンシは産業用アプリケーションにとっての重要な問題であり、韓国の通信事業者はこの点についても急速な改善がみられる。数値は通信事業者や都市によって異なるが、テストを行った7つの都市では、ほとんどの場合でレイテンシは30ミリ秒未満という結果になった。これは、一般的な米国の4Gネットワークのレイテンシである60ミリ秒の約半分だ。Korea Telecomの大邱でのレイテンシは16.5ミリ秒で、他の6つの都市でも30ミリ秒より遅くなることはなかった。 SK Telecomは都市によって22ミリ秒から45.5ミリ秒までの値を計測、LG U+の首都ソウルでのレイテンシの値は最も小さく22ミリ秒を記録したが、他の3つの都市では85ミリ秒以上であった。

全体的なネットワークのレイテンシが低いだけでなく、特定の場所での「URLLC(Ultra-Reliable and Low Latency Communications:超高信頼低遅延)」を実現する5Gの要件は、次世代のファクトリーオートメーションの鍵である。 0.02秒のレイテンシは、MR(Mixed Reality)ヘッドセットが視聴者に提供するストリーミングコンテンツを迅速に変更できる十分な応答性を備えているが、産業用ロボットに依存する工場では、0.01秒以下のレスポンスと、99.999%の信頼性が必要とされる。このピークレベルのパフォーマンスは、5Gのネットワーク全体ではなく、特定の産業用アプリケーションとその環境によって担保されるが、周囲のネットワークを同様の速度に進化させることで大幅に改善される。

5Gを迅速に成功させるための韓国の「青写真」へのRootMetricsの言及は、実際にはいくつかの要素に帰着する。韓国の3つの通信事業者のうち2社は100MHzの5G帯域幅を使用しており、もう1社は80MHzを使用、すべて「ミッドバンド」の3.5GHz帯に含まれるが、米国の通信事業者は、ミッドバンドスペクトラムへのアクセスに関する規制や、スペクトラムへのアクセスに対する大規模なブロックに苦戦している。また、韓国の通信事業者は都市全体に多くのネットワーク設備の導入を行うことが可能だったため、米国が初期に5Gミリ波の導入をしたのとは異なり、屋内でも屋外と比べてパフォーマンスの低下が比較的少ないこともわかった。言い換えれば、パフォーマンスの高い5Gのキーとなるのは、広く展開されているミッドバンドのネットワーク設備だ。これにより、主要な国内ベンダー政府の調整が大幅に容易になる。

このように、韓国はSamsung 5Gのネットワーク設備デバイスの可用性から大きな恩恵を受けているのは間違いない。一方、他国についても5G対応iPhoneの発売が遅れていた間に、各国の通信事業者が産業用アプリケーションと同程度、もしくはそれ以上の消費者向けデバイスによる5G需要の高まりに駆り立てられ、現在の5G環境におけるリーダーである韓国と同レベルに達しようとする動きに拍車がかかるとRootMetricsは予測している。

レポートでは、1年間のパフォーマンスの上昇ペースは、韓国が現在「指揮官」の座に就いてはいるものの「他の国のネットワークもそれに追随する可能性があり、これにより世界の5Gの競争の場が平準化されることを示唆している」と述べている。

via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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