F Ventures、学生向け起業啓蒙イベント「第3回TORYUMON ONLINE」を開催——賃貸物件の現・新入居者を繋ぐ「RoomPa」が優勝

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福岡を拠点とするシード向けベンチャーキャピタルである F Ventures は19日、学生向け起業啓蒙イベント「TORYUMON」を開催した。オンライン開催としては3回目、オフラインイベントと合わせた通算では13回目の開催となる。イベント終盤に開かれたピッチコンペティションでは5社が登壇した。この5社は F Ventures が今年始めた、U25 起業家と起業家予備軍のコミュニティ「TORYUMON ZERO」から輩出されたスタートアップだ。賃貸不動産の現入居者が物件を次の新しい入居者に紹介できる「RoomPa」が優勝した。

審査員を務めたのは、次の皆さん。

  • 堤達生氏(STRIVE 代表パートナー)
  • 一戸将未氏(ジェネシア・ベンチャーズ アソシエイト)
  • 安喜理紗氏(iSGS インベストメントワークス インベストメント・マネージャー)
  • 両角将太氏(F Ventures 代表パートナー)

【最優秀賞】RoomPa by Amufi

副賞:10万円

賃貸不動産を契約する場合、これまでの方法では、物件検索サイトで物件を探す → その物件を取り扱う客付け不動産会社(仲介会社)へ出向く → その物件を管理する元付け不動産会社(管理会社)へ行って内見・条件が折り合えば契約、というプロセスを経ることになる。世の中には内見ありきの物件探しが多数を占めるが、これは契約までに時間がかかり、コロナ禍においては物件探しもなるべく人との接触を少なくしたい、と考えるのが人情だ。

RoomPa(ルムパ)」は、賃貸不動産の現入居者と新入居者を直接つなぐプラットフォームだ。現入居者から部屋の様子を写真投稿され、潜在的新入居者は物件探しをスムーズに行える。契約は仲介会社・管理会社を経るが、検索・内見・検索までを同一プラットフォーム上で完結でき、市場にまだ出ていない物件情報が入手できるのが特徴。元入居者は新入居者の制約時に、家賃の25%を紹介インセンティブとして受け取れる。不動産オーナーにとっても、次の入居者が早く見つかる、家賃を下げなくていい、などのメリットがある。

【GMO ペパボ賞】【TORYUMON 賞】Univ! by ユニビー

副賞:GMO「SUZURI」優待券5万円分、博多西洋和菓子「博多通りもん」

コロナ禍においては、大学で講義はいうまでもなく、部活やサークル活動などさまざまなキャンパスライフがオンライン化を余儀なくされている。しかし、キャンパスライフのオンライン化に最適なアプリがまだ無いと考えたユニビーは、今年6月に大学専用 SNS「Univ!」をローンチした。ユニビー代表の植松風登氏が在籍する京都大学を皮切りに、ローンチから半年間で関西の大学を中心に105団体1,650人の大学生が利用しているという。

在学している大学や名前からユーザ検索機能、サークルや部活の情報を探せるコミュニティ検索機能などを提供。コミュニティのチャット機能に注力しており、LINE や Slack より使いやすい UI を目指す。学年やクラスなどを指定することで、自動的にクラスメートが同じトークルームに入るような体験も提供可能で、オフライン講義の擬似的環境も作り出すことができる。大学生むけの細かいターゲティングによる広告配信や、全学向け SNS 機能の提供などでマネタイズを目指す。

以下はファイナリストに残りつつも、入賞とならなかったチーム。

obousan by 葛上海翔氏

江戸時代から寺と消費者をつなぐ檀家制度が存在するが、消費者が住んでいる地域に根ざしたコミュニティを元にしたこの制度は、地方の村から都市へと人が移動するにつれ崩壊しつつある。約3割の寺の収入は年間300万円以下、そして約半数の寺は住職のいない「無住寺院」となっているのが現状だ。檀家が少なくなることでデメリットがあるのは寺だけではない。檀家である消費者にとっても、生活拠点を移すことなどを契機に、寺の檀家を離れる際に支払う離檀料が高額になってしまう。

obousan は寺から檀家制度を廃止し、代わりに、一家の墓を移動する際の遺骨の移動市場のプラットフォームを構築することで、寺の資金獲得を支援する。葛上氏によれば、檀家制度をやめたことで、檀家は寺と関係構築をするためにお布施をする機会が増え、結果的に収入が4倍になった寺もあるいう。年間11億件に及ぶとされる遺骨の移動市場について、葛上氏は3,300億円の SOM(獲得可能な市場規模)があると見積もる。obousan では現在、僧侶50人に協力してもらい、サービスの開発を進めている。

zeehaa by showcase

showcase は、1日5分間の自宅でのフィットネス体験を支援するアプリ「zeeha」を開発、iOSAndroid 向けに提供している。2014年の設立から5年後の2019年にユニコーン入りした中国のフィットネスアプリ「Keep」をベンチマーク。フィットネス動画をフリーミアムで提供し、将来は、プロテイン販売、オフラインジムとの提携による通い放題サービス、ヨガマットのサブスクレンタルサービスなどで、フィットネスにおける第一想起を狙った経済圏確率を目指す。

高品質なフィットネス内容を指導・動画配信できるインストラクター20名ほどを獲得しており、彼らのファンのほか、フィットネスの強度別、世代別などで、適切なフィットネス内容をユーザにレコメンドする機能を付加し、既存の YouTube や他のフィットネスアプリとの差別化を図る。代表の二村祐介氏は、日本ではどの事業者がどのレベルのコンテンツを提供しているか認知されていないため、料理レシピ動画サイトなどと同様、当初はフリーミアムでユーザがサービスを容易に覗ける環境を作ることが重要だと強調した。

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スタディチェーン by スタディチェーン

日本の受験市場は9,800億円規模で、毎年90万人の受験生が塾などに通っている。しかし、スタディチェーン代表の竹本明弘氏の説明によると、その約3分の2に相当する62万人の受験生が、塾だけではモチベーションを維持できない、と回答しているという。この課題を解決するために、大手塾では、武田塾がコーチング(勉強そのものを教えるのではなく、勉強の仕方を教える)で、また、東進ハイスクールなどは同じ志望校を目指す受験生同士のコミュニティ形成で成果をあげている。

スタディチェーン」は、こういったコーチングと受験生コミュニティの両方を取り入れたオンライン塾だ。毎日勉強した内容をチャットで報告してもらう進捗管理でコーチがフィードバック、また、受験生が自分が立てた目標に対して、努力や実力を見える化できるダッシュボードを提供する。コミュニティではその人の勉強記録を投稿し、同じ志望校を目指す受験生同士が「いいね」することができ、月に2回は Zoom でのディスカッション機会を設定。9割以上の人が偏差値5〜10以上アップに結びついたという。

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