福岡を拠点とするシード向けベンチャーキャピタルである F Ventures は16日、福岡市内で5回目となる学生向け起業啓蒙イベント「TORYUMON」を開催した。イベント終盤に開かれたピッチコンペティションでは8社が登壇、運転代行サービスを最適化する仕組みを提案した「代行 POOL」が優勝した。
以下、入賞チームを中心に紹介する。
【最優秀賞】【Monex Ventures 賞】代行 POOL
<副賞>
- 東京のスタートアップイベントに参加できる権
運転代行事業者は、日本でも最も多いのが沖縄県、二番目に多いのが福岡県だ。運転代行では、お客の車の後ろを事業者の車が追走し、最低2人1組で行動するのが一般的な方法。代行 POOL では、1台の車が複数の運転代行運転手を送迎することで運用を効率化する。独自アルゴリズムにより、最も効率的なルートで運転手のアサイン、運転完了後のピックアップを実現。沖縄で実証実験を行い、待ち時間が1時間から10分に短縮できるメドがついているとのこと。
日本では配車アプリが禁止されており、それに代わるラストマイルアクセスのモビリティサービスの開発がにぎやかになりつつある。先ごろ Plug and Play Japan から輩出されたタクシーの相乗りの「nearMe.」や、Okinawa Startup Program から輩出された Alpaca.Lab の「運転代行プラットフォーム」などが記憶に新しい。
<19日16時追記> 「代行 POOL 」創業者の川西発之氏コメント
正しくは沖縄での実証実験は行っておりません。「待ち時間が1時間から10分に短縮」したのを確認したのは、あくまでコンピュータシミュレーション上での結果です。
【PR TIMES 賞】【ロリポップ賞】Locarip by Kation
<副賞>
- ロリポップ! マネージドクラウド 1年間どれだけ使ってもいいよ!権
- PR TIMES 半年間利用権
地域を訪れた人に、再びその地を訪れたくなる体験を届けることにフォーカスした「Locarip」。地域住民が旅行者に提供できるスキルを可視化、旅行者と住民をマッチングし、旅行者は住民に料金を払ってサービス提供してもらうことができる。土地の観光スポットではなく、そこに住む人にスポットライトを当てている点が興味深い。また、高齢化が進む地方を活性化させるメリットもある。
昨年6月にローンチし、広島県の江田島市と熊本県の菊池川流域でサービスを展開。すでに全国の8市町村から Locarip を導入したいとの引き合いが来ており、2023年には全国展開を目指す。
【F Ventures 賞】Traspy
<副賞>
- 焼肉連れて行く権
Traspy は、旅程を検討し決めるのが面倒、という人のために、すでに旅したことがある人のプランを共有できるプラットフォーム。旅程の購入者と販売者をマッチングする。販売者にとっては、自身の体験をマネタイズでき、また、思い出を日記として残せるメリットがある。
【Alibaba Cloud 賞】【SYG賞】【FFG賞】Yobimori by nanoFreaks
<副賞>
- Alibaba Cloud クレジット50万円分
- SYG オフィスの1年間利用権
- FFG ダイアゴナル福岡使用権
Yobimori は、漁師が転落した際に通知する IoT デバイスだ。漁師は常に生死の危険と隣り合わせの環境にある仕事だ。特に問題なのは、海中転落時にそれを周りに気づいてもらえない点。その結果、捜索にあたる海上保安庁に速やかに連絡が来ない、また、捜索に協力してくれる仲間の船も漁の休業を余儀なくされるなどの課題がある。
漁師が海中に転落すると、着衣(ライフベスト)に貼り付けられた IoT デバイスが外れ、海面に浮いた状態で警報を発する。携帯電話の 3G 電波を経由して、海上保安庁、漁協、船の他の乗組員などに位置情報と共に連絡が届く仕組み。沖合では電波が届かないが、少なくとも近海であれば 3G 電波が届くため、海中転落事故の救護措置を大幅に改善できるとしている。
以下はファイナリストに残りつつも、入賞とならなかったチーム。
- Clipline…ゲームとゲームコミュニティをつなぐプラットフォーム。コミュニティのプレイ時の動画を掲載することで、コミュニティの雰囲気を伝わりやすくする。
- Gamies…ゲームのプレーヤー同士をマッチングする Tinder。プレーヤー同士がのレベルが違っていたり、興味がズレていたりする課題を防止する。
- Qrea…過敏性腸症候群に悩む人は公共の場で突然の便意に襲われ、トイレ探しに困ることが多い。Qrea は会員制モデルにより、公共の場にスマートロックで入室できる有料トイレのネットワークを作る。
- Hueman…Facebook や Twitter を使う人が減っていると言われる若い学生らのための SNS。コミュニティ情報に特化、仲間づくり、社会貢献などに重点を置く。
- Let’s Drink…簡単に飲み会の場所、人集めなどができるプラットフォーム。幹事の煩わしさが無いこと、また、特定のテーマに集まる人の飲み会を企画できるため、人材分野でのマネタイズも期待できるとしている。
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