2020年バーチャルイベント総括:体験企業が語る「ハイブリッドへの移行」(4/5)

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質をどう担保する

(前回からのつづき)Kleiner Perkinsにてイベントプラットフォーム「Welcome」のシリーズA投資ラウンドを主導したIlya Fushman氏は2020年以前にここまで危機的にイベントにてリモートのオーディエンスのことを考える必要が生まれるとは思ってもみなかったと語る。

「パンデミックが発生したことで、対面イベントと同等の品質と交流の機会を持つバーチャルイベントを開催しなければならないというプレッシャーが生じました。そしてリモートの現実が徐々に落ち着きソーシャル体験がバーチャルとなるにつれ、二つの事実が明確になってきました。1つ目は世界がより遠隔地になりこれからも分散化は続くということ、2つ目はこの新しい世界には、私たちがつながり続けるための質の高いバーチャル体験が必要だということでした。確かにパンデミックはバーチャルイベント参加者の好みを期待に押し上げました。しかし、これはそもそも時間の問題だったのです。私たちの働き方はすでにリモート化が進んでいたのです」。

混沌とするフィールドの中、Welcomeはエンタープライズの利用に舵を切っている。つまり、イベントごとや参加者ごとに課金するのではなく、企業との年間契約の方法を選んだのだ。彼らは企業が会議やラウンドテーブル、タウンホールなどあらゆる場面で利用してくれることを期待している。これを実現するためにWelcomeは、ブラウザ上での「HD放送スタジオ」というポジショニングを目指して「Appleのキーノートのような体験を誰でもできるようにしたい」と目論んでいる。WelcomeのCEO、Roberto Ortiz氏はこう説明する。

「まるで映像のコントロールルームから、スクリーン上に美しいオーバーレイを重ねたり、事前に収録したコンテンツを織り交ぜたりするなど、利用企業はイベント体験のさまざまな側面を管理することができます。ユーザーはインタラクティブなテレビ番組のようなハイエンド体験を生み出しており、A/Vチームや制作スタッフが舞台裏にいなくても、リアルタイムで視聴者の投票や質問をまとめて実施することができるのです」。

Welcomeのグリーン・ルーム

Ortiz氏はバーチャルイベントスペースで事業展開している他の企業と同じく、2020年にイベントを完全にバーチャル化した顧客から得ているフィードバックは「物理的なイベントを後ろポケットに入れている」ことだと指摘する。

「圧倒的に多くのお客様から、今後はハイブリッドイベントに移行したいとの声をいただいています。バーチャル化することでより多くのオーディエンスにリーチし、より強力なエンゲージメント分析を行い、最終的にはイベント後の顧客により良いサービスを提供することが可能になりました。COVID-19はバーチャルイベントとハイブリッドイベントが、物理的なイベントよりもわずかなコストで多大なROIを提供してくれることを証明したのです」。

(次につづく)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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