2020年バーチャルイベント総括:必然の変化と大型調達スタートアップたち(1/5)

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Photo by C Technical from Pexels

Lightspeed VentureのHemant Mohapatra氏はVentureBeatのインタビューでこう語っている。

「人間というものはほんとうに怠惰なものだと思います。チャンスさえあれば、AからBへの最短の近道を探し出そうとするんですよね」。

パンデミックによって明らかになったバーチャルイベントの可能性とはどんなものなのか、そしてそれは世の中の考え方に永続的な変化をもたらすか、という質問に答えてのことだ。

Mohapatra氏はインドを拠点とするVC企業のパートナーであり、かつてはGoogleやAMDといったテック企業で取引を行っていた。メンローパークを拠点とするLightspeedはSnap、Grubhub、AppDynamics、Mulesoftなど多くの著名なスタートアップを支援してきた。今年投資したHubiloは物理イベントから仮想イベントにピボットしたスタートアップで、その後成功をつかんでいる。

Hubiloのストーリーは2020年、おなじみのものとなった。新型コロナウイルスの危機の直前に、多くの未熟なバーチャルイベントスタートアップが市場に出たが、彼らの先見の明のある動きが迅速な採用と大規模な成長につながった。他のスタートアップの設立者たちは予兆を感じ取って「pivot or die」の瀬戸際でうまく立ち回ることができた。

イスラエルのイベント技術スタートアップのBizzaboは、オンラインイベントをサポートするためにモデル変更を行い、Insight Partnersがリードする資金調達ラウンドで1億3,800万ドルを確保した。他にはWelcomeと呼ばれるY Combinatorのプログラムを卒業したての設立まもないスタートアップが、レストラン向けソフトウェアから方向転換し、質の高いバーチャルイベントの提供に注力することを決めた。WelcomeはKleiner Perkinsを含む著名な投資家から1,200万ドルを確保した。

スタートアップの状況をひと目見れば、投資家も分け前を求めて同様に這い上がろうとしていたことが分かる。11月、Hopinは今年初めのシードラウンドでの650万ドルシリーズAラウンドの4,000万ドルに続いて、評価額21億ドルでなんと1億2,500万ドルを調達した。Run The Worldは2月にシードラウンドで430万ドルを調達した後、1,080万ドルを確保している。一方Airmeetは1,200万ドルを調達し、Wonderは1,100万ドルを調達した。これらのスタートアップは総じてAndreessen Horowitz、Founders Fund、Sequoia、Accel、IVP、Tiger Globalなどの著名な投資家の注目を集めた。

バーチャルイベントは2020年だけのものではないが、ミーティングやイベントなどの機能をオンラインで実現するというビジネス界のニーズによって動きが加速したことは明らかだ。だがMohapatra氏によると、ある時点でこうした変化が必ず起こることは、過去数十年の間に他の業界で起こった変化から証明されているという。

Mphapatra氏はVentureBeatにこう語った。

「ここ数年間で、ほんの10〜20年前には想像もできなかった多くのことがオンラインに移行してきました。単に少ない労力で同じだけのメリットを提供するという問題なのです。

私がAMDでエンジニアを始めてまもない頃、営業部の同僚たちはオースティンからサンフランシスコやニューヨークへと飛び回り、取引を成立させ、署名をもらって握手していました。それが今や、Reliance JIOが純粋にオンラインのみで300億ドルから400億ドルの資金調達ラウンドを完了しています。

愛や絆は常にリアルな世界にあると私たちは信じてきましたが、今やパートナーをオンラインで見つけるためのプラットフォームがたくさんあります。同じようなことが他の業界でも起こっています。たとえば教育では、教師と生徒の関係はオンラインへと効果的に移行しています」。

Lightspeed Venture Partners IndiaのHemant Mohapatra氏

2020年、世界的なパンデミックが多くのビジネスを混乱させた。1兆ドル規模のグローバルイベント産業も確実にそのひとつだ。MWCE3のような主要なカンファレンスは国々がロックダウンされたためにキャンセルせざるを得なかった。数週間かけて世界が落ち着きを取り戻すにつれて、バーチャルイベントはゆっくりと「ニューノーマル」として浮上し、中小企業も大企業もオンラインへと移行した

だがイベントの未来はどうなるだろう?元に戻るのだろうか、それとも世界規模のパンデミックは消えない爪痕を残すのだろうか?VentureBeatでは、2020年に起こった進化と未来がハイブリッドになる理由について最前線の設立者と投資家に話を聞いた。(次につづく)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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