「Clubhouseは違う文脈からやってきた」ーーゲーム配信SNS「Mirrativ」配信者数が300万人突破【赤川氏インタビュー】

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ニュースサマリ:ゲーム配信SNS「Mirrativ」を提供するミラティブは2月5日、ゲーム実況をする配信者の数が300万人を突破したことを伝えている。また、配信者間でのフォロー数は1億回以上となり、配信者同士のコメント数は年間25億以上に上っていることから、同社では常時接続ソーシャルネットワークとしての存在感が増しているとしている。

Mirrativはスマートフォンの画面をミラーリングし、自分で楽しんでいるゲームプレイの様子をそのまま配信ができるソーシャルネットワーク。手軽に配信ができることからアクティブなユーザーにおける配信者の比率は2割となっている。また、ゲーム配信だけでなく、ゆるく会話をしたい常時接続型のコミュニケーションの場として利用するユーザーも集まっており、ゲームを仲介としたコミュニティの構築が進んでいる。

話題のポイント:現代のサードプレイスMirrativが久しぶりに数字を公開しました。2019年8月に公開4年で登録者数1,000万人、配信者数160万人を公表しているので、そこから約1年半ほどで倍弱の拡大になっています。

さて、これまでMirrativを伝える時、あまりソーシャルネットワークという言葉は使っていませんでした。どちらかというとライブ配信、アバター(バーチャルキャラクター)による仮想空間、サードプレイス、こういった「もう一つの世界、もう一人の自分」が新しいコミュニティでゲームしながら会話し、楽しむというイメージが強かったように思います。

しかし、今回、改めてリリースには「常時接続ソーシャル」というワードを入れてきています。当然、Clubhouseを発端とする新しいソーシャルネットワークの存在を意識したものであるのは間違いありません。まあ、楽しいですからね。ということで今回もClubhouseで同社代表の赤川隼一さんに公開インタビューをしてきました。

違う文脈からやってきたClubhouse

「音声中心の常時接続ソーシャル」。このモメンタムが日本で大きく膨らむかどうかと言われると私は正直懐疑的でした。特に先行しているポッドキャスト文化がどうにも日本では定着しているように思えず、もし世代によるものであれば浸透までに時間がかかるかもと予想するぐらいでした。

しかし、ここに異常なまでの障壁の低さと「聞いてる人や友達を会話に参加させる」「聞いてる人にリアクションさせない」というちょっとしたアイデアで斜め上から一気に広がったのがClubhouseという現象です。赤川さんはこの状況を「全く別の文脈からやってきたもの」と分析します。

「大局的な話でいくと、日本のほぼ全てのライブ配信は中国を先端とするケースが多いんです。確かにニコニコ動画のように中国で拡大再生産されたbilibiliのような例もありますが、おおよそこれらは中国発の流れとしてみていました」。

特に機能面で中国の流れを汲むライブ配信関連サービスは「足し算」のものが多いと指摘します。TikTok(と、その前身であるMusica.ly)はその昔、ショートムービーに音楽を乗せるというアイデアでリップシンクというカルチャーを作りましたし、同様にライブ配信にはアイテム課金、コマース、コミュニケーション、アバターなどなど常に「コンテンツ+α」の考え方がベースになっています。

一方、Clubhouseは究極にまで機能を削ぎ落としてデビューしました。いかにして気軽に会話が始まるか、という点を究極に求めた結果でしょうか、特にオーディエンスにリアクションさせないという決断は、確かに足し算文化でコメントや絵文字が当たり前になっている現状からすると、かなり新鮮に映りました。

MIrrativはどうなるのか

では、このモメンタムを受けてMirrativに何か動きがあるのでしょうか。そもそもMirrativは立ち上がった当時からゆるくいつでもトモダチとつながるコミュニケーションサービスとして進化してきています。

「サービス開始当初から言ってるんですが、Mirrativは実況というよりも配信、メディアではなくコミュニケーションサービスです。トモダチの家でドラクエやってる感じとお話してきましたが、eSpotsとかでも誰かに見てもらうと燃えるじゃないですか。ライブ配信っていうのもなんだかステージに上げられてる感じがしていて違うんですよね。トモダチと何時に家に集合ねっていって、来てるかどうかも分かんないけどゲームははじまってる。そういう空気感みたい部分です。

はじめてしばらくは自分たちもソーシャルネットワークだと言ってたこともあったのですが、これがClubhouseがやってきたことで一気に認知が広がった。Mirrativは最初から常時接続ソーシャルネットワークで、例えば今、ゲームでガチャ回すのに一人でやるなんてありえないっていう配信者の方もいます。コミュニケーションって圧倒的に面白いエンターテインメントなんですよ」。

300万人という配信者が日々、ゲームをきっかけにやってくるフォロワーの人たちとコミュニケーションを楽しむのがMirrativです。実際に入ってみると、ゲームだけでなく雑談だけのチャンネルもあり、以前に比べて多様性は増しています。一方、入ると必ずと言っていいほど「◎◎さんこんにちはー」と配信者から挨拶があったりするなど、オーディエンスとの「距離感」はClubhouseとは全く異なるものです。

特にClubhouseで配信すると分かるのですが、お話の上手な人がどうしてもコンテンツとしては面白くなります。また、そのように誰かに聞かせる「配信」を意識した場合、会話が途切れることにどうしても躊躇が生まれるのも確かです。そういう点でMirrativやTwitchなどのゲーム配信やHousePartyのように何かコンテンツを間に入れるという手法は引き続き強さを保つと思います。赤川さんも言及していましたが、これらは全く違うものとしてこれからも並行して進化していくのではないでしょうか。

ではその上で、赤川さんにClubhouseで得た経験から参考にしたい体験をお聞きしたところ、やはりユーザーを引き込む仕組みについてはもっと研究を進めたいと話していました。

「Clubhouseで配信すると配信側に呼ばれてデビューしちゃった、みたいな体験ありますよね。終わったら楽しくなってじゃあ自分も部屋立てていいっすか?みたいな。あれ、Mirrativでもあるんですが、Twitterを通じて発生していたんですよね」。

これは確かにClubhouseが一気に立ち上がった要因のひとつでもあります。もしMirrativにふらりとやってきたトモダチを家にあげる、そういう要素が加わるととても楽しくなりそうです。

現在、60名体制で開発を続けるMirrativ。Clubhouseという黒船によって全く違う角度から音声による常時接続ソーシャルネットワークの扉がこじ開けられることになりました。もちろん、まだマス層に広がるにはしばらく時間がかかると思いますし、Twitterが開発するSpacesや国産の00:00Studio、Stand.fmなど、音声や常時接続にチャレンジしているスタートアップにとっては10年に一度の絶好のチャンスが到来したと言って過言ではないと思います。

赤川さんも今回のリリースに合わせて採用の手紙を更新し、さらなる体制強化を進めてこれからやってくる新しいソーシャルネットワークの時代に向け闘志を燃やしていました。

※本稿はClubhouseで公開インタビューした内容をご本人の合意を得て記事化しております

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