沖縄発・IoT/AI遠隔点検のLiLz(リルズ)、シリーズAで約2.5億円を調達——環境エネルギー投資、ドーガン・ベータなどから

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LiLz のメンバーの皆さん(一部)
Image credit: LiLz

沖縄・宜野湾に本拠を置く LiLz(リルズ)は9日、シリーズ A ラウンドで約2.5億円を調達したことを明らかにした。このラウンドに参加したのは、環境エネルギー投資、ドーガン・ベータ、ソニー(東証:6758)、沖縄振興開発金融公庫と名前非開示の投資家。同社はこれまでに、起業家育成プログラム「Ryukyufrogs」の立ち上げに関わったソーシャルインパクト投資のうむさんラボから資金を調達している(調達額は不明)。

LiLz は、広島の IT ベンチャー出身のエンジニアである大西敬吾氏(現・代表取締役)らにより2017年に創業。2017年には施設メンテナンス大手の高砂熱学工業(東証:1969)のアクセラレータ「just move on!」に採択され、高砂熱学工業と計器点検を自動化するサービス「LiLz Gauge(リルズゲージ)」を共同開発し、2020年6月からサービス提供している。

ビルなどの設備メンテナンスでは、担当者が定期設備を巡回し、メーターが示す値を記録し、異常な兆候が無いかを確認する必要がある。人手不足の観点からこれらのメーターはスマートメーターなどにリプレイスされ、記録や分析が自動化されることが望ましいが、設備を止めることができなかったり、スマートメーターを動かす電源や通信ネットワークを確保できなかったりすることが多い。

「LiLz Gauge」
Image credit: LiLz

LiLz Gauge は、現在備わっているアナログのメーターを低消費電力 IoT カメラで撮影、それをクラウドにアップロードし文字認識・画像認識することにより値を記録・分析する。アナログメーターを使って、スマートメーターが行うのと同じことが可能になる。機器の異常兆候を目的として、特定音の検索サービス(LiLz Sound Search)も開発している。

LiLz Gauge はビルや病院、プラント、発電所、下水処理場、道路関連設備などあらゆる点検現場で導入され、2020年6月のサービスインから6ヶ月で約1,200台が稼働している。導入済または導入予定の企業は、TMES(施設管理)、山陰酸素工業(ガス製造・販売)、月島機械(上下水道・化学プラント各施設)など全国各地で30社以上に達した。

九州・山口ベンチャーアワーズ 2018で大賞を受け取る代表取締役の大西敬吾氏(左)
Image credit: Masaru Ikeda

LiLz は2017年、IoT/AI サービス開発に特化した企画合宿プログラム「LiLz Boot Camp」の運営で、IoT 開発のウフルと業務提携。同年、NVIDIA Inception Program のパートナー企業に認定された。2018年には九州・山口ベンチャーアワーズで大賞、2019年には CEATEC AWARD 2019 トータルソリューション部門グランプリを獲得している。

LiLz では今回調達した資金を使って、IoT カメラ次機種の開発費(LiLz では、電池駆動で3年間可動する超低消費電力IoT カメラを昨年開発している)、機械学習を活用した新たな価値創出のための研究費や開発費、SaaS 事業における人材の採用費や人件費、マーケティング費用に投資するとしている。

Lilz Gauge が提供する機能の一部は、適用業界は異なるもののの、Open Network Lab の Resi-Techプログラム第1期デモデイで優勝した不動産管理の「管理ロイド」や、建設土木クラウド の「Photoruction」などにも類似しているかもしれない。

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