パッションエコノミー時代の動画プラットフォーム「Your school」、学生起業家に投資家たちが期待する理由

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TranSeメンバー(YouTubeから)

ニュースサマリ:動画関連事業を展開するTranSe(トランス)は2月15日、第三者割当増資の実施を公表している。引受先になったのはPKSHA SPARX(PKSHA SPARXアルゴリズム1号ファンド)、W ventures、Skyland Ventures、個人投資家として岩崎翔太氏、大島礼頌氏。投資ラウンドはプレシリーズAで、調達した金額は1億円。払込日や株価などの詳細は非公開。資金は新たに展開する動画プラットフォーム「YourSchool」の事業投資に使われる。

TranSeの創業は2018年4月。学生起業家で動画クリエイターの大川優介氏を中心に、YouTubeなどの動画コンテンツを作りたい人向けのコミュニティ「TranSe Salon」やマンツーマンの動画制作「OneSe Personal」を展開してきた。コミュニティの累計登録者数は1,600名を数える。昨年10月には一芸に秀でた個人のノウハウを動画で教える「Your school」を開始している。

話題のポイント:フレッシュなスタートアップです。テーマもやや一周まわった感のあるネット動画ですが、実際にお話をお聞きするとなるほど、これだけの数のキャピタリストたちが彼らに期待するのもよくわかる内容でした。ということで、例の如くClubhouseで公開取材の形を取りながら、代表の安藤伊織さんとSkyland Venturesの木下慶彦さんにお話伺いました。

パッションエコノミー時代の到来

本件のキーワードは「パッションエコノミー」です。こういったキャッチーなトレンドはa16zが発信することが多くなった印象ですが、平たく言うとイケてる個人によるスキル経済、といった感じでしょうか。国内ではヨガや料理など個人のスキルを販売するプラットフォーム「MOSH」がここ最近勢いを付けている分野です。

国内でも以前からこういう流れはありました。個人間送金的な使い方を、一時的な購買と見做して実現する決済プラットフォームが2017年前後に出てきた時期があったのを覚えていますでしょうか。いわゆる「サービスEC」という考え方で、モノではなく自分のスキルを販売しましょうというモデルです。ただ、4、5年前の市場はココナラのようなスキルシェアのプラットフォームはあるものの、個人が自分でカートを用意してまでビジネス展開するまでのトレンドには至りませんでした。

では、なぜ今なのか。安藤さんが注目していたのはYouTubeにおけるマイクロインフルエンサーの増加です。YouTubeのみならず、数十万人単位でフォロワーを獲得するインフルエンサーの存在はみなさんご存知の通りですが、それ以外にも注目されているのが「マイクロインフルエンサー」の存在です。安藤さん曰く、YouTubeにおけるチャンネル登録者数が1万人程度の方々の数が、2年前に比較して1.3万人と4倍近く拡大しているという試算があるのだそうです。

また、彼らの展開する動画スクールにやってくる人たちの顔ぶれについても、動画専業の方というよりは、自分で飲食店をやっていてYouTubeに載せるからちょっとしたものを作りたい、外注に頼りたくないという人たちの存在感が大きいそうです。確かにiPhoneなどのスマートフォンを見ても、十分に閲覧に耐えられる撮影ができるようになっていますので、その辺りも影響あるのではと思いました。ちなみに彼らのマンツーマンの動画スクールは20万円で、何を作りたいのか個別にヒアリングしてカリキュラムを作るそうです。

Your schoolをスキルのD2Cと捉える

Your schoolではスキルのあるインフルエンサーを集め、彼らのスキルコンテンツを販売する動画シリーズをTranSe側で制作します。ユーザーはコンテンツを購入するとオンデマンドに動画を視聴してそのスキルを学べる、という具合です。オンライン学習は多数ありますが、前述のように「誰が作ったコンテンツか」が重要なので、自然と差別化が図れるようになるというのが彼らの主張です。

Skylandの木下さんは彼らに2年前から注目をして投資してきたそうです。SkylandはこれまでにもにじさんじやVAZZなどのインフルエンサーモデルに投資しており、動画に対する市場の資金流入をファクトとして持っています。そもそもインフルエンサービジネスは広告や販売、投げ銭にコミュニティ課金と複雑です。当然ですが、KPIがクライアントワークモデルのように安定しないとスタートアップ投資の対象としてはやや不安が残ります。

その点、今回のYour schoolのようにスキルある人を集めることができれば、コンテンツは積み上げなので勝ち筋が見えやすいモデルになります。この辺りが多くの投資家たちを集めた要因なのだろうなと理解しつつ、木下さんはスキルコンテンツのD2Cモデルと説明していましたが、こういう整理ができるかどうかは結構重要です。

まだコンテンツは少なく、テーマについてもクリエイティブやハンドメイドなど、自分の時間・タイミングで実施できるものの方が合ってるだろうなという仮説でコンテンツを集めているというお話です。逆にフィットネスなどは引き続きライブの方が相性は良さそうです。

※本稿はClubhouseでの取材内容をご本人に同意いただいて記事化しています

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