
民泊やマンスリーマンションのための宿泊運営管理システム「m2m Systems」などを展開する matsuri technologies は26日、シリーズ B ラウンドのエクステンションラウンドで約5億円を調達したことを明らかにした。このラウンドに参加した投資家は、オールアバウト(東証:2454)、地域創生ソリューション(ALL-JAPAN 観光立国ファンド)、坂野敦氏(Aspex Management のパートナー)、および既存投資家4社。なお調達額には金融機関からのデットファイナンスが含まれる。
今回の調達は、matsuri technologies が2019年10月に実施したシリーズ B ラウンド(5.8億円を調達)のエクステンションラウンドだ。matsuri technologies が創業した2016年以来の累積調達額は約14億円に達した。
民泊運営管理のシステムプロバイダとしてスタートした matsuri technologies だが、2017年4月に実施された Open Network Lab 第14期のデモデイでは、「民泊新法」に対応して民泊物件を民泊以外の用途に転用できる仕組みづくりに着手したことを明らかにしていた。これは新型コロナが感染拡大する前の話だったが、結果として、この時の動きが事業継続につながった可能性は高い。
コロナ禍でインバウンド需要が9割以上失われる中、民泊物件をマンスリーマンションに転換・運用支援する事業は吉と出た。テレワーク需要の拡大や、ワーケーション・ステイケーションという新たな住まいのあり方が求められるように、マンスリーマンションの需要も確実に伸びている。matsuri technologies では、都内を中心に「Sumyca」というブランドでサービスを提供している。
Sumyca は一言で言うと、OYO LIFE のようなサービス。スマホで契約が可能で、家具も備え付けなので、その日から入居し生活できる。入居者の与信チェック、反社チェックも当社で行い、一般的な賃貸で求められる重要事項説明の必要もない。(創業者で代表取締役の吉田圭汰氏)

時代の変化への適応力という点で、matsuri technologies のそれは、サービスの見せ方も中身も目を見張るものがある。カップル向けの「おためし同棲」のほか、「一時帰国.com」や「自主隔離.com」というドメインを立ち上げた。これらはいずれも、Sumyca のサブドメインとして運用されている。
アフターコロナの社会を見据え、matsuri technologies はさらにサービスのラインアップを増やす。一つは、前述した民泊のマンスリーマンション転換で事業再構築を一貫して支援するプラン。もう一つは、ホテル民泊などの経営権売買、地方別荘を使った民泊事業の開業支援だ。
先日 BRIDGE では「NOT A HOTEL」を取り上げたが、matsuri technologies でも同様にコロナ禍の地方移転需要を見越し、普段使われていない別荘などを日本人向けの民泊として開発した「S villa」というブランドを運営している。
matsuri technologies では、インバウンド需要が消滅したことから流通件数は一時期1万件未満にまで激減したが、マンスリーマンションをはじめ利用形態の多様化が功を奏し、先月には7〜8万件にまで回復を見せているという。
一般的に考えると、旅系のスタートアップにとってはコロナ後の方が有利なバリュエーションを設定しやすいと思われるが、同社では資金繰りが一番厳しい時期に自らがクッションとなることで、外部の投資家含め、逆張りの新規参入の投資家を迎え、業界全体の軟着陸を促したいとしている。
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