創薬と再生医療高品質化のナレッジパレット、シリーズAで5億円を調達——スパークス、横浜キャピタル、ANRIから

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左から:CTO 福田雅和氏、CEO 團野宏樹氏。共にナレッジパレット共同創業者
Image credit: Knowledge Palette

創薬や再生医療高品質化の研究開発を行うナレッジパレットは29日、シリーズ A ラウンドで約5億円を調達したことを明らかにした。このラウンドのリードインベスターはスパークス・グループ(東証:8739)が務め、横浜キャピタルと ANRI が参加した。同社は2019年10月にシードラウンドで ANRI から資金調達。その後。銀行からの借入や NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の STS(シード期の研究開発型スタートアップ)助成金などで資金を調達しており、累積調達額は今回を含め約7億円に達した。

ナレッジパレットは2018年、共に東京大学大学院で同じ研究室を修了した福田雅和氏と團野宏樹氏により共同創業。大学院を終了後、福田氏は和光純薬工業(現・富士フイルム和光純薬)で幹細胞の培養関連製品の研究開発に従事、團野氏は理化学研究所でバイオテクノロジーと AI・データサイエンスの融合研究に従事していた。ナレッジパレットは、團野氏が理化学研究所在籍時に共同開発した1細胞レベルの全遺伝子発現解析技術(シングルセルトランスクリプトーム)をコアに、創薬や再生医療に関わる研究開発を行う。

人間の身体は概ね37兆個の細胞で構成されているが、部位にかかわらず細胞の核の中には、その人固有の同じ DNA が存在する。部位によって組織や機能に特徴が生まれるのは、その中の遺伝子活性化パターンが異なるからで、人間の身体には3万種類の遺伝子活性化パターンが存在するという。この遺伝子の活性化状態を見るのが遺伝子発現解析技術で、バイオ医薬品のもとや再生医療のための細胞を作る上で、どのような薬剤や化合物を投与した際にどのような反応を示すかを、高速かつ正確に見つけ出すことができるという。

細胞培養を行うマルチウェルプレート。さまざまな薬剤や培養液で処理した細胞の状態を診断する。
Image credit: Knowledge Palette

医薬品の開発現場では、薬のターゲットとなる体内物質(創薬標的)の枯渇から難病であるほど新薬の開発難易度・コストが増大している。また、バイオ医薬品や再生医療製品では生きた細胞を用いるため、品質にばらつきが生じる問題がある。ナレッジパレットでは自動分注機やロボットで多種類の培養液を作り、そうして得られた細胞の状態を大規模データとして診断することで(AI によるバイオインフォマティクス)、高いスループットで全遺伝子発現プロファイリングを可能にした。

ナレッジパレットでは、こうして得られた知見を元に、創薬と再生医療製品の研究開発の2つの分野で事業を展開する。創薬関連事業については製薬会社と近日中に共同研究プロジェクトに着手する見込み。また、再生医療製品については現在研究開発中にあり、来年中のサービスインを目指すとしている。

<参考文献>

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