電通ベンチャーズ、100億円規模となる2号ファンドを組成——国内投資、事業共創にも注力へ

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電通ベンチャーズの皆さん。中央がマネージングパートナーの笹本康太郎氏。
Image credit: Dentsu Ventures

<27日午後3時更新> 本稿初出時、GRAIL が IPO したとの表現をしたが、GRAIL から 米 SEC に IPO 申請は提出されたものの、スピンオフ前の Illunina 傘下に戻る(買収される)のではないかとの観測があり、さらにこれが独禁法に抵触すると FTC から買収異議が示され、IPO には至っていない。該当箇所を訂正線で削除した。

電通グループ(東証:4324)は27日、同社の CVC である電通ベンチャーズ2号ファンドを組成したことを発表した。2号ファンドの運用規模は100億円。2015年4月に組成した1号ファンドと合わせると合計200億円となる。電通ベンチャーズのマネージングパートナーの笹本康太郎氏は、1号ファンドでは、日本への市場参入を目論むミドルステージ以降の海外スタートアップに投資することが多かったが、2号ファンドでは海外のみならず国内スタートアップへの投資にも注力し、事業共創の可能性を積極的に模索したいと語った。

1号ファンドでは、主にアメリカのスタートアップ40社ほどに投資。電通が直接的には関わりが薄かった〝飛び地領域〟——バイオサイエンスやヘルスケア——へのミドルステージ以降での出資参加が多かったという。クラウド最適化スマホ「Robin」を開発していた NextbitRazer が買収、ミレニアル向け動画ニュースの CheddarAltice USA が買収、DNA 合成スタートアップの Twist Bioscience や、ガン早期発見スタートアップ GRAIL は IPO を果たすなど、パフォーマンスは上々だった。

1号ファンドでは、5〜10年後の電通の事業領域を見据えて、40社中30社以上は海外のスタートアップへの出資だった。国内では、アルプ(サブスクリプションビジネス効率化・収益最大化プラットフォーム「Scalebase」を運営)やカケハシ(薬剤師業務効率化 SaaS「Musubi」を運営)など数えるほどだ。

2号ファンドでは、電通イノベーションイニシアティブ(DII)などとも連携して、国内のスタートアップの事業支援や事業共創にも力を入れていきたいと思っている。投資領域も(飛び地というよりは)MarTech、SalesTech、リテール、コマース、メディア、コミュニティなど、もう少し近いところにフォーカスを当てて、事業を一緒に作っていくようなアプローチも取りたい。(笹本氏)

電通ベンチャーズのポートフォリオ
Image credit: Dentsu Ventures

DII は「電通にしかできない、未来のビジネスをつくる」というミッションを持つ電通の社内 R&D 組織だ。グローバルで有望なスタートアップやテクノロジー企業への投資・事業開発を推進し、未来の事業基盤の創造に取り組んでいる。最近では、事業開発を念頭に置いた学生を募ってのインターンシップなども展開している。電通ベンチャーズでは、電通グループや関連会社のみならず、同社が数多く持つ顧客企業とスタートアップの共創支援も念頭に、投資を強化していきたい考えだ。

1号ファンドと比べ、2号ファンドが国内投資を強化する判断に至ったのには、新型コロナウイルスの感染拡大の影響は否定できない。オンラインでの情報収集は可能とはいえ、ディールソースやデューデリジェンスのために、パートナーが海外の現地スタートアップを訪問するのもままならなくなっている。一方、電通ベンチャーズは投資開始から6年を経て、同ファンドの認知度が高まったことから、国内外を問わず、シードステージでリードやコリード投資家の位置を取れる可能性が高まってきたことも背景にあるのだろう。