Microsoft「クラウド版Windows」発表ーーMacブラウザでも動くWindows365、8月に配信開始へ

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すでに報じられていた通り、Microsoftは今週、ラップトップ、スマートフォン、タブレットなどのユーザーデバイスに対応した「クラウド版Windows」を発表した。Windows 365 Cloud PC(元々のプロジェクト名はProject Deschutes)と呼ばれるこの新サービスは、Windows 10およびWindows 11のクラウドインスタンスを組織や個人が利用できるもので、アプリやデータ、設定はセッションやデバイスを問わず継続される。

Windows 365は、Microsoftが2019年に発売した仮想デスクトップインフラ製品「Azure Virtual Desktop(旧・Windows Virtual Desktop)」をベースに構築されている。しかし、Microsoft 365のジェネラルマネージャーであるWangui McKelvey氏によると、Windows 365はより複雑な処理を裏側で施すことで、仮想化の体験をシンプルにしているという。きっかけはパンデミックの拡大で進んだハイブリッドワークへの移行だ。McKelvey氏によると従業員は新しいワークフローに対応したテクノロジーを必要としており、Microsoftのワークトレンドインデックスに回答した73%が柔軟なリモートワークのオプションを期待しつつ、対面でのコラボレーションは犠牲にしたくないと答えている。McKelvey氏はブログにこう綴っている。

「Windows 365 クラウドPCのビジョンは、他サービスがクラウドを採用しているように、クラウドの力を利用してWindowsを体験する新たな方法を提供すると同時に、企業が抱える新しい課題と従来の課題の両方を解決することにあります。この新しいパラダイムは単にリモートアクセスを可能にし、セキュリティを確保するだけのものではありません。ユーザー体験は人材の獲得と維持、生産性の向上、セキュリティの確保のためにこれまで以上に重要になるでしょう」。

クラウドファースト

Windows 365はMicrosoftが「インスタントオン」と呼ぶ起動体験を提供し、アプリやツール、データ、設定をクラウドからMacOS、iOS、Linux、Androidにストリーミングする。各インスタンスの状態は暗号化されており、デバイスを切り替えても同じ状態を維持する。またWindows 365は、標準のWindowsインストールと同様にMicrosoft 365、Dynamics 365、Power Platformなどのビジネスアプリケーションをサポートしている。

さらに「App Assurance」と呼ばれる新しいサービスでは、150人以上のユーザーを持つ顧客に対しては、発生したアプリの問題を追加費用なしで解決することができる。ITに関しては、Windows 365がMicrosoft Endpoint Managerで物理デバイスと一緒に表示されることになる。管理者は、管理ポリシーとセキュリティポリシーを適用し、Windows 10、Microsoft Defender for Endpoint、Microsoft Edge、またはクラウドPC固有のセキュリティベースラインを使用することができる。

Windows 365 の多要素認証(MFA)は、Microsoft Azure Active Directory との統合によりクラウド PCへのログインやアクセスを検証する。Microsoft Endpoint Managerでは、MFAをWindows 365の条件付きアクセスポリシーと組み合わせ、ライセンスやデバイス管理、クラウド PC 管理などの権限を特定のロールに対して委譲することができる。Microsoft Defender for Endpointは、クラウドPCにも対応しており、管理者はインスタンスをオンボードし、セキュリティ推奨事項を活用して課題発見や優先順位付けを行うことが可能だ。

企業はクラウドにより拡張された処理パワーを活用した分析サービスを利用して、Windows 365クラウドPCのパフォーマンスを監視することができる。エンドポイント・アナリティクスのダッシュボードから、パフォーマンスが低下しているクラウドPC環境を特定し、推奨やアップグレードを行うことができる。また、Microsoft’s Watchdog Serviceが定期的に診断を実施し、テストが失敗した場合にはアラートを送信した上で修正方法を提案する。

ITの課題とメリット

専任のITチームを持たない企業にとって、環境の仮想化は設定や維持が困難になる場合がある。McKelvey氏はその点について、Windows 365はフルカスタマイズの必要性や専任のITチームのリソースを持たない約80%の市場を対象としていると語る。

クラウドPCは、Microsoft Cloudとパーソナル・デバイスを強力に結びつける、クラウド・コンピューティングの次の大きなステップを象徴している。「Windows 365の発表に伴い、企業、従業員、パートナーのみなさまには、Windowsとそのデバイスを使った体験を再構築していただきたいと考えています。また、世界中のユーザーに新しいシナリオを提供できることを楽しみにしています」とMcKelvey氏は期待を語る。

Windows 365のセキュリティ設定を調整する 画像引用:Microsoft

ISG Technology社のレポートによると、デスクトップ仮想化は少なくとも2つの側面で企業のコスト削減を実現する。クラウドからデスクトップをストリーミングするために使用されるクライアントデバイスは通常200ドルから300ドル程度であるのに対し、デスクトップは数千ドルもする。さらにデスクトップを仮想化することで、従業員のPCの管理、パッチ適用、アップグレード、サポートの必要性が減り、IT管理者のコストを30%から50%削減することも可能だ。ベンダーの中には仮想化によってデスクトップ1台あたり年間150ドル以上のコスト削減が可能だと見積もっているところもある。

この傾向を反映して、Spiceworksによるとデスクトップへの支出は、2019年のハードウェア予算の18%から、2021年には14%になると予想している。また、仮想デスクトップ技術を利用している、または2022年半ばまでに利用する予定の企業は46%で、そのうち26%はパンデミックによって表面化したニーズに対応するために導入を増やす予定であることも分かっている。

Windows 365分析ダッシュボードでクラウドPCを管理 画像引用:Microsoft

企業規模別に2021年のクラウド利用状況を分析したところ、大企業は中小企業に比べて、引き続きplatform-as-a-serviceや、desktop-as-a-serviceに予算を多く配分することがわかった。 また、リモートワークの推進によりポータブルデバイスへの移行が加速しており、多くの企業が最近ノートパソコンに投資している。

ロールアウト

Accenture、Insight、Netrix、MachineLogic、Nitec Solutionsなどのシステムインテグレーターやマネージドサービスプロバイダーは、すでにWindows 365をサポートしており、追加サービスを支援するとMicrosoftは伝えている。Nerdio、ServiceNow、Net Appなどの独立系ソフトウェアベンダーからは、さまざまなWindows 365シナリオをサポートする新しいソリューションが本日発表される。将来的にOEMメーカーは、デバイスと一緒にWindows 365をサービスに統合する機会を得ることになるだろう。

これによってクリエイティブ、アナリティクス、エンジニアリング、サイエンティフィックなどの分野で、より高い処理能力と重要なアプリケーションへのアクセスを必要とする専門的なワーカーを、よりターゲットを絞って配置することができるようになるはずだ。

Windows 365は2021年8月2日に一般提供を開始し、Windows 365 BusinessとWindows 365 Enterpriseの2つのエディションで、パフォーマンスのニーズに応じて複数のクラウドPC構成が用意される。価格はユーザーごとの月額制になるとMicrosoftは公表している。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】