シンガポール発の人事分析スタートアップPanalyt、3.3億円をシード調達——本社機能を日本に移転へ

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Panalyt のメンバー(一部)。右から3人目が日本法人代表を務める小川高子氏。
Image credit: Panalyt

シンガポールに拠点を置く人事分析(People Analytics)スタートアップの Panalyt(パナリット) は28日、シードラウンドで約3.3億円を調達したことを明らかにした。このラウンドには、D4V、千葉道場ファンド、Headline Asia、坂部雅之氏(プレイド)と、名前非開示の個人投資家複数が参加した。同社は新たに日本法人を設立し、まもなく本社機能をシンガポールから日本に移転する予定だ。

Panalyt は2017年、Apple や Uber のアジア太平洋部門で人事担当の責任者を務めた Daniel J. West 氏により創業。人事データを活用した人事意思決定は、Apple や Uber など先駆的な企業やエンタープライズでは当然のように行われてきたが、同じようなプロセスは経営規模の大小を問わず、どんな企業においても必要との考えから、これを可能にするプラットフォームを構築するスタートアップとして Panalyt の事業に着手した。

Panalyt は、複数の人事関連システムから集めたデータを統合・分析し、経営層が意思決定に必要なインサイトを与えてくれるプラットフォームだ。日本においては、以前、Google の日本オフィスやアメリカ本社で人事業務に従事した小川高子氏が Panalyt に参画し、2019年に日本法人 Panalyt Japan を設立し業務を推進してきた。

ビジネスにおいてはヒト・モノ・カネが重要と言われるが、特にヒトの部分のデータの分析を元にした経営が遅れている。モノやカネの世界で出来ていることを、ヒトの世界でもできるようにしたい。我々は Panalyt のことを「人材のための財務諸表」と呼んでいるが、この表現が CFO をはじめとする経営層には刺さっている。

人事部には社員の人事データにあふれているが、それらはバラバラに存在していることが多い。そういったデータを統合して、会社の中でいったい何が起きているかをワンストップで見られるツールがこれまでは無かった。Panalyt ではさまざまなツールからデータを吸い出し、クレンジングし、分析することで、データの可視化を一括サポートする。(小川氏)

Image credit: Panalyt

Panalyt と、企業が人事データを保有するさまざまなシステムとは、導入時にデータエンジニアがデータマッピングをするだけで連携される。この際に各システムのデータフォーマットに対し Panalyt が条件を合わせてデータ取得するため、連携する人事関連システムには、ほぼ制約が無いとみられる。これまで使っていた人事関連システムはそのまま使い続けてもらい、ユーザに行動変容を求めることなく、意思決定が必要な局面にのみ Panalyt を使ってもらえることは最大の利点の一つだと小川氏は強調した。

日本では、人材不足に起因する人材配置の最適化に対する高い需要と、人事分析に必要なデータアナリストの不足などの社会背景から、この分野における潜在的な需給ギャップが大きい。Panalyt がシンガポールのスタートアップでありながら、ユーザに日本企業が多いのはそんな理由からだ。同社では、人事分析の浸透までに時間を要する東南アジアよりも、日本市場においての方が潜在的な事業機会が大きいと判断し、今回、日本への本社機能移転を決めたという。同様の理由から、今回ラウンドの投資家の多くも日本の企業や個人が占めた。

Panalyt は英語、スペイン語、日本語で利用できる。人事分析の市場はアメリカにも存在するが相応に競合が存在するなどの理由などから、当面は日本を中心としたアジア太平洋地域での事業に集中する計画だ。まずは、「人事データのワンストップ統合という分野では競合がいない(小川氏)」日本市場でのドミナントプレーヤーを目指し、将来は、オーストラリアやインドといった市場への進出の可能性も考えられるだろう、とのことだった。

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