自社Webサイトにコードを貼るだけ、訪問した見込客に対話型営業ができる「Quicker」がβローンチ——アプリコットVから資金調達も

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「Quicker」
Image credit: 9seconds

B2B 企業向けに自社 Web サイト上でインタラクティブな営業活動を提供するサービス「Quicker(クイッカー)」を提供する 9seconds は18日、同サービスをβローンチした。また、同社はアプリコット・ベンチャーズから3,000万円を調達していたことも明らかにした(アプリコット・ベンチャーズが TLM と統合し mint となる前のフェーズでの出資)。同社は、アプリコット・ベンチャーズがデライト・ベンチャーズと運営する起業支援プログラム「Springboard」から輩出されたスタートアップだ。

9seconds は2020年4月、NTT ドコモ、freee、Dropbox Japan などで法人営業やセールスを経験してきた渡邊将太氏により創業。渡邊氏によれば、アメリカでは DriftQualified といった CRM や MA ツールと連携可能なカンバセーショナルマーケティング(conversational marketing)のプラットフォームが台頭してきており、これと並行して、次第に web サイトに問い合わせフォームが設置されるケースが減ってきているという。

Quicker は、まさにこの conversational marketing を B2B 企業向けが簡単に実現するためのプラットフォームだ。見込み客ユーザが自社サイトを訪れると、IP アドレスから類推した所属企業や、リピート訪問ユーザについてはクッキーを使うなどしてユーザ属性を即座に可視化。サイト訪問が担当営業などに伝えられ、見込み客はサイト上でチャットボックスを通じてコミュニケーションができたり、客に時間が無い場合などは改めてのコミュニケーション機会の設定ができたりする仕組みを提供する。

「Quicker」の機能
Image credit: 9seconds

いろいろデジタル系サービスの会社で営業をやってきたが、どの会社でも最初のコンタクトは電話になっていた。営業パーソンがファーストコンタクトを取る部分をプロダクトで実現したいと考えていた。Springboard 参加からセールステックをいろいろ試し、2〜3回のピボットを経て、ようやくローンチに漕ぎ着けたのが今回の Quicker だ。

問い合わせフォームでは、見込み客から問い合わせがあってから回答を返すまでのリードタイムが長くなってしまう。Quicker なら素早く見込み客と営業パーソンを繋ぐことができ、エンゲージメントが下がらない間に背属することができる。(渡邊氏)

現時点で、Quicker Chat(ランディングページを閲覧している見込み客をリアルタイムで閲覧、チャットやメッセージを送付)、Quicker Connect(画面共有しながら、商談やヒアリングを実施)、Quicker ABM(ターゲット企業が自社サイトに訪問した際、担当の営業担当者に Slack やメールで通知、アカウント・ベースド・マーケティングを促進) が利用できる。Quicker Meeting(ボットが見込み客からの問い合わせ対応や資料請求の返信、営業担当者との日程調整を行う)とモバイル対応は開発中だ。

Quicker は現在オンボーディング中のものを含めると6〜7社が利用している。9seconds ではシステム開発の強化のため、これまで業務委託を含め3名ほどだったチームを、今回調達した資金で6〜7名程度にまで増やす計画だ。

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