パーソナライズD2CサブスクのSparty、デット20億円含め41億円を資金調達——JIC-VGI、アカツキ、丸井から【内容更新あり】

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「MEDULLA(メデュラ)」
Image credit: Sparty

<13日21時更新> 深山氏にインタビューを実施。一部追記し、全体の文章構成を変更しました。

ヘアケアブランド「MEDULLA(メデュラ)」、スキンケアブランド「HOTARU PERSONALIZED(ホタル パーソナライズド)」などを展開するパーソナライズ D2C サブスクリプションスタートアップの Sparty は13日、直近のラウンドで約21億円を調達したことを明らかにした。ラウンドステージは不明だが、シリーズ C 相当と推定される。また、りそな銀行、みずほ銀行、三菱 UFJ 銀行からは、デットファイナンス枠として約20億円が設定された。

このラウンドは JIC ベンチャー・グロース・インベストメンツ(JIC-VGI)がリード投資家を務め、アカツキ(東証:3932)と丸井グループ(東証:8252)が参加した。このラウンドは Sparty にとって、2020年1月に発表したラウンド(シリーズ B ラウンドと推定)に続くもので、アカツキと丸井グループは、同ラウンドに続く今回の参加となる。エクイティファイナンスに限った累積調達金額は、これまでに開示されているものだけで26億円に達した。

Sparty は2017年5月、博報堂や大手通信メーカー出身の深山陽介氏により創業。2018年5月、髪質や髪の毛の状態に合わせて、シャンプーやトリートメントをカスタマイズできる女性向けサブスクブランド MEDULLA をローンチした。MEDULLA の累計会員数は今年7月現在、35万人を突破している。昨年5月には、スキンケアブランド HOTARU PERSONALIZED をローンチ、今年4月には表参道にジムを開設しボディメイクブランド「Waitless」をローンチした。

BRIDGE の取材に対し深山氏は、MEDULLA、HOTARU PERSONALIZED、Waitless という3つのブランドを成長させることが現在の至上命題であるとした。そのために、同社では今回調達した資金を使って、2022年6月までに200名規模へ向けた採用強化や各パーソナライズブランドの認知向上を目指した広告展開、幅広いマーケティング活動への投資を行う計画だ。また、次の事業戦略として、「SPARTY made to order STORE」というポータルサイトを視野に入れているという。

SPARTY made to order STORE は、言わばオンラインの百貨店で、Sparty が他社と共同で製作したブランドやここでしか買えない独自ブランドが提供され、パーソナルエージェントとのやりとりを通じて、ユーザにとっての最適商品が提案されるというもの。ユーザ自らが商品を選んだり、レコメンドされたりすることもなく、「あなただけの商品」が半ば自動的に提示されるこの体験はカンバセーショナルコマースと呼ばれ、日本においても海外においても、この分野の覇者はまだ存在しないと見られる。

深山氏によれば、美容業界全体がパーソナライゼーションに向かっていて、市場全体が盛り上がっている状態にあるという。論より証拠、資生堂は「Oputune(オプチューン)」、POLA は「APEX(アペックス)」というパーソナライゼーションブランドをローンチしているし、スタートアップ関連で言えば、女性向けカスタマイズサプリメントのサブスク「FUJIMI(フジミ)」運営のトリコが今年2月、ポーラ・オルビスホールディングス(東証:4927)に36億円で買収されたのは記憶に新しい。

視線を海外に向けても同じようなトレンドが見受けられる。カスタマイズ可能なヘア・スキン・ボディケア製品スタートアップの Function of Beauty は昨年12月、米仏系 PE ファーム の L Catterton から1億5000万ドルを調達した。中国コスメブランド「Perfect Diary(完美日記)」を運営する Yatsen Holding(逸仙控股)は昨年11月、最大1億米ドルの調達を目指してアメリカでの IPO を申請した

こういった美容やスキンケア業界への期待感から、Sparty には海外投資家や有名美容ブランドなども関心を示している。今回ラウンドに海外勢の顔ぶれは見当たらないが、本ラウンドのエクステンションか次ラウンドでの出資参画は十分ありえるだろう。今回調達を受けて Sparty は海外進出の準備に着手することも表明しており、サブスク EC を受け入れられやすい素地のある中国の都市部や台湾、シンガポールを中心とした東南アジアなどへの展開の可能性が考えられる、とのことだった。

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