月額数万円のNOT A HOTELも準備中ーー濱渦氏が語った「次の一手」【Tokyo Meetup 公開インタビュー】

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本稿は起業家や投資家にトレンドを聞くオンラインイベントTokyo  Meetupの公開収録から。来年1月19日に開催するBRIDGE Tokyoは現在限定の無料チケットを配布中

ニュースサマリ:NOT A HOTELは富裕層ビジネスではない、誰もが月額数万円で利用できるような仕組みを発表するーー本誌インタビューに同社代表取締役、濱渦伸次氏が次の一手として現在検討しているプランの一部を明かしてくれた。戦略的に富裕層をターゲットにした立ち上げがうまくハマり、40億円が販売開始2カ月でほぼ完売するなど、強烈なスタートを切った同社。しかし、読者の中にはこの成功は一部の層に売れただけであり次はない、という疑問の声も上がっていた。本誌では金曜日に開催したオンラインイベントTokyo Meetupで同氏に公開取材を実施し、いくつかの興味深い回答を得ることができた。

話題のポイント:創業1年ほど、サービス開始2カ月で40億円近くの売上を作るスタートアップ(※ゲームは除く)というのは、見たことがなかったかもしれません。ECで不動産を販売、内覧ナシ、ショールームナシ、広告宣伝費ナシ、全てが破格すぎて地殻変動を目の当たりにしているようです。

しかも濱渦さん、別に不動産の経験があるわけじゃないんですよね。昨日のインタビューでもお話されていましたが、不動産は好きではあるものの、創業当時は不動産事業の経験どころか、抵当権という言葉もよく分かっていなかったそうです。普段、スタートアップには「創業する理由」としてのバックグラウンドに業界経験が重視される傾向があったと思いますが、まるで学生起業をみるような清々しさすら感じます。念のためお伝えしておきますが、アラタナを創業して経営者として経験を積み、ZOZOグループに入った経験をもつ連続起業家です。ちょっと前までグループ子会社の社長やってました。

さておき、事前にいただいていた質問は整理すると「スケールどうするの?お金持ちって限られてますよ」「アプリっていつできるの?ホテルと切り替えって結構難しいのでは」「既存の事業者からどういうフィードバックありますか」「金融機関はどうみてる」「売れなかったらどうするつもりでした」あたり。では、インタビューの様子をお伝えしましょう(太字の質問は全て筆者、回答は濱渦さん、敬称は略しています)

NOT A HOTEL那須は完売

ーー創業からわずか1年半ほどの強烈なロケットスタートでしたが、創業した時(2020年4月設立)に今のチームってもう声かけとか終わってたんですか?

濱渦:まったくですね。2020年3月31日までZOZOグループの子会社社長だったのでほとんどなんもやってなかったんですよ。4月からメンバー集めをして、土地も何も買ってないのでなんもないわけですよ。今のメンバーや株主はそうですね、(この荒唐無稽な話に)乗ってきてくれたんですよ。

パース(物件のイメージ図)すらなく、自分がNOT A HOTELがあったらこんな生活になるっていうポエムを用意してたんですよね。そのポエムにANRIさん、6億円出資してくれて。そこから他の投資家の方も乗ってきてくれて。ただ、投資家と働くメンバーはポエムでなんとかなったのですが、土地はポエムでなんとかならなかったので買うしかなかったですね。

ーーいい感じに狂ってますね(笑。土地も株式資本で買ったんですか?

濱渦:融資受けれないような土地買ってるんですよ。だからフルエクイティ(で購入するしかなかった)。そういえば馬もバランスシートに載ってるんですよ。馬って車両なんですよ。テックスタートアップなのにバランスシートに(馬の名前の)「コマメ」とか「サスケ」とか載ってるんです。流石にオフバラ(BSから除外)しましたけど(笑。

ーーただ、濱渦さん、それなりに経営の経験もあり、金融機関との関係もあったでしょうに。キャッシュフローある程度見込める事業ですから金融機関が相談に乗ってくれなかったんですか?

濱渦:借りれるならいくらでも借りたかったんですけど、貸してくれなかったですよね(笑。実は最初は融資だけでやろうとしてたんですよ。でも全部断られて。だって2020年4月って最初のロックダウンがあった時期です。そんな時にホテルやるっていう時点で頭おかしいですよね(笑。さらにホテルを『売る』っていうのも分からない。ネットで売るって言ってるし、ホテルにも自宅にもなるって言ってるからさらに意味が分からない。

その上で那須とか宮崎とかに16万坪の土地買うって言うからもう全部門前払い。かわいそうな子だったんですよ。

ーー笑。

濱渦:それで融資が下りなくて、自分でホテルが作れなかったので『NOT A HOTEL』。ヤケクソでつけた名前だったんですよ。

ーーそんなエピソードが(爆笑

濱渦:はい、元々はホテルの事業だったんです。で、銀行が参加してくれなくて今があります(笑。

ーー面白い創業期のお話でした。少し質問をいただいているので、まずは残り物件が売れたかどうか

濱渦:実は不動産って結構売るの大変なんですよ・・・。

ーー多分、そうだと思います(笑

濱渦:カートにポチッと決済して、IT重説(※オンラインでの重要事項説明)して、Zoomで契約内容をご説明して入金、という形なのでどこで完了したかという点でいうとまだ残ってますね。今、那須は完全に完売してて、宮崎のシェア購入で3500万円、2500万円が2部屋ずつあります。今から買うことも可能です。

ーーでは、次の質問。疑問として多かったのが富裕層ビジネスだと続かないのでは、というものです。次の一手は

濱渦:僕らは決して富裕層ビジネスをやろうとしているわけじゃないんですよ。今回は自分が欲しいモノを作っていったら高くなっちゃった。『全ての人にNOT A HOTELを』というのがミッションとしてあって、結構面白い事業展開をすることになると思います。そうきたの?みたいな。

ーー具体的には

濱渦:今はキャッシュでしか買えなかったりシェア買いでも2,000万円以上するので、これが本当に月額数万円とかで買えるような仕組みは提供しようとしています。引き続き分譲販売のモデルなんですが、シェア購入であれば例えばローンで買えると月額数万円になるじゃないですか。年に1カ月はNOT A HOTELで過ごせるようになる、そういう世界を目指したいです。数億円の物件は定期的にフラッグシップとして出していきますが。

ーーやはりローン商品のあたりがキーになりそうですね

濱渦:ただ単に低価格のものを作ろうとは思ってないんですけど、言いたくなっちゃうんですが年明けの発表を楽しみにしていてください。来年、低価格なものをラインナップする予定です。

ーー次の物件は福岡の集合住宅パターンがありますよね。那須と宮崎が終わって、次は福岡ですか

濱渦:そうですね、あれはフランチャイズのモデルで、僕らは土地を仕入れて建築家の方に建ててもらって運営するのですが、フランチャイズはその仕組みを一式提供するという形になります。地主やデベロッパーの方と組みながら事業を大きくしていく。利益や出資のお金で土地を買い続けると成長しないし、そろそろ怒られると思うんですよ。馬とか買ったら(笑。そこは地主さんと組んで進めていくという感じですね

ーー戦略的にどっちを優先するとかあるんですか

濱渦:よくばっちゃうんですけど、両方拡大していきたいですね。

ーー15人で?

濱渦:そろそろ人がやばいんですよ(笑。

ーー緒に働きたいっていう方の応募は殺到しているんじゃないですか?

濱渦:一気に人を増やす方針ではないので少しずつ、優秀な方に来ていただこうと思ってるんです。だからゆっくりですがそろそろやばいです(笑。

ーー相当な矛盾ですね(笑。特に足りてないのはどういう方で、今はどういう方々が集まってるんですか?

濱渦:エンジニアですね。販売が決まって売るところまでいったので、オーナーさんのアプリやIoTの開発が必要なんですがそこが不足しています。ただ変数が多すぎるんです。土地や建築、そこに開発が入るので、事業の難易度が高すぎて自分でも笑ってます。そもそも私、抵当権という言葉をよく知らなかったぐらいの素人集団なんです。旅行好きとかこういう暮らしがある人生が好きという方が集まっています。素人じゃないとやらなかったですね(笑。

ーーアプリの開発についてです。これもまた変わったサービスになるので、前例があまりないと思うのですが、どうやって開発を進めてるんですか?

濱渦:僕も買ったので、オーナーなんですよね。それでオーナーの気分でああだこうだと仕様を伝えてます。こういうUXいいよね、という。

ーー・・・いろいろ言うだけでできるんですか?(笑

濱渦:エンジニアたちが頑張ってくれてます(笑。例えば(物件には)スイッチが全くなかったりするんですけど、オーナー体験としてどうなるのかなど、賃貸の物件を借りて徐々にテストをやってます。

ーーホテルの切り替えがあるじゃないですか。ホテルの機能はオペレーションがあるわけですよね

濱渦:こちらはNOT A HOTELマネージメントで運営の設計をしています。これもまた別の変数で、売れるかどうかは疑われてたんですが、証明できたんですよね。でも次はホテル運営本当にできんの?っていうそれもまた証明していかないといけないです(笑。

ーー最後に。売れなかったらどうしてました?

濱渦:切腹ですね。売れると思って信じてやってましたけど。自分で全部買い取るぐらいのつもりで・・いや、40億円は買えないですけど(笑。

ーーいや、興味深いお話ありがとうございました!

 

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