AIで有望株式銘柄を発掘するQraftがソフトバンクから170億円調達など——韓国スタートアップシーン週間振り返り(1月10日~1月14日)

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本稿は、韓国のスタートアップメディア「Startup Recipe(스타트업 레시피)」の発表する週刊ニュースを元に、韓国のスタートアップシーンの動向や資金調達のトレンドを振り返ります。

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1月10日~1月14日に公開された韓国スタートアップの調達のうち、調達金額を開示したのは23件で、資金総額は5,691億ウォン(約546億円)に達した。

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主なスタートアップ投資

  • AI フィンテックスタートアップ Qraft Technologies(크래프트테크놀로지스)がソフトバンクから1,750億ウォン(約170億円)規模の資金調達。Qraft は金融会社にシステムを提供する企業で、ニューヨーク証券取引所に「AI ETF」を上場させている。今回調達を受け、ソフトバンクが持つ上場銘柄のポートフォリオ運営に AI モデルを搭載するなど協業の計画。
  • フリマアプリのポンゲ・ジャント(번개장터、雷市場)が820億ウォン(約79億円)を資金調達。新規投資に小売大手の Sinsaegae が参加。今回調達した資金で、カテゴリ内のサービス強化、決済配送サービスの競争力確保、高級品を含む中古認証サービスの開発に乗り出す計画。
  • フードスタートアップ Cookat(쿠캣)が GS Retail に550億ウォン(約53億円)で買収された。 GS Retail の子会社となり、GS Retail オフラインプラットフォームと Cookat のシナジーを推進し、MZ 世代の顧客を流入させる計画。
  • デジタルコンテンツ企業 Copin Communications(코핀커뮤니케이션즈)が504億ウォン(約48億円)を調達。ワンソース・マルチユース戦略をもとに総合ウェブトゥーンスタジオ事業を運営する Copin は、今回の資金でデジタルコンテンツ開発能力を強化し、海外市場攻略に活用する計画。
  • 配達代行プラットフォーム「Barogo(바로고)」が500億ウォン(約48億円)を調達。昨年900億ウォンを調達しており、追加で資金調達した Barogoは、今回の資金を新事業拡張と買収合併、生鮮品配送クイックコマース事業「Tengo(텐고)」拡大に活用する計画。
  • インフルエンサーコマース「Boosters(부스터스)」が120億ウォン(約12億円)を調達。D2C 専門家が創業した企業で、SNS を活用し e コマース事業を支援。
  • オンライン食材 e コマース「Foodpang(푸드팡)」が110億ウォン(約11億円)を調達。オフライン中心の食材供給のデジタル転換を支援する。独自の物流システムを運営する Foodpang は今回の投資で、卸売生鮮品フルフィルメントセンター拡充する計画。

トレンド分析

史上最高だった2021年のスタートアップ投資、その熱気はもう冷めてしまったのか

2021年は、世界的にスタートアップ投資市場が最も活発に動いた年だった。アメリカやヨーロッパ、アジアなどでも歴代投資実績を記録したというニュースが伝わり、Startup Recipe のデータによると、韓国でも12兆ウォン(約1.2兆円)以上の資金がスタートアップに流れ込んでいることが明らかになった。2022年も、2021年のような投資好況期を享受できるだろうか。海外では少しずつ、技術投資市場の熱気が冷めかねないという話が出ている。

まず、高まったインフレに対する憂慮と不安な株式市場の変動が、最大の脅威要因として浮上している。 インフレに対する中央銀行の反応を見ると、金利はまもなく引き上げられるだろう。金利が上がれば、リスクの高い投資とみなされるベンチャー投資は減り、安全な資産へと資金が移動することになる。

豊富な流動資金でスタートアップの価値が大幅に水増しされていることも懸念材料だ。既存の伝統的な VC より、はるかに多くの資金を投入している Tiger Global のような新生 VC が投資競争を起こして価値上昇を促し、VC とスタートアップもこのような競争に慣れ、過熱が続いてきたわけだ。競争をしなければならないため、企業に対する調査と評価のための時間を一部割愛している。

実際、スタートアップ過熱の話は毎年出てくる話だ。しかし、過熱への懸念を投資家が直接表明していることは注目に値する。Union Square Ventures の パートナー Fred Wilson 氏はブログを通じて、「まともなビジネスを始める前の企業が、1億ドルの価値で投資を受ける現象」を指摘し、「彼らは次の投資段階でもより多くの資金を確保できるという幻想に陥っている」と批判したこともある。ベンチャー市場が過熱しすぎて収益性の無い企業に莫大な資本をつぎ込むと、今後大きなリスクを負うことにもなりかねないという話だ。Y Combinator の元 CEO Sam Altman 氏は12月、ツイッターを通じて「2020年代の VC の収益は、2010年代より悪化するだろう」と予測した。

こうした懸念の中でも、高い価値で資金を調達する企業が出てくることを受け、専門家らは市場低迷期が一定期間続いてこそ、価値が再調整されると予想している。むしろ VC の立場では「低迷期は期待する状況」とも言われている。

アメリカ市場の反応を受け、ハイテク株の価格が乱高下するのも危険要因だ。大きな期待の中で上場した技術銘柄の実績は現在急落している。Zoom、Robinhood はともに最高値から50%ほど株価が下落し、2021年に IPO した Rivian、Coursera、Coupang(쿠팡)など多くの技術株が下落している。 Coupang の株価も現在は半分に低下している。 アナリストらは、インフレの影響で技術銘柄の価格が引き続き低い水準に止まれば、新規の資金調達ラウンドで価値が下落し始めるだろうと予想している。

もちろん、このような懸念の中でも、2022年のスタートアップ投資や IPO は依然として強気を見せると評価されているが、2021年のような記録的な成果まで期待できるかは未知数だ。幸いにも、多くの専門家は、ドットコムバブルが繰り返される可能性はなさそうだと予想している。

【via StartupRecipe】 @startuprecipe2

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