フレーバーにこだわり、ゆずは島根から——米クラフトビール界に旋風を巻き起こすスタートアップLunarとは

Kevin Wong 氏
Image credit: Kevin Wong

アメリカでは5月が「AAPI ヘリテージ月間」となり、アジア系および太平洋諸島民系アメリカ人の功績と貢献を称える祭典が毎年開催されている。

アジア系アメリカ人は、それぞれの分野や業界において、障壁を取り除き、多様性を向上させるために大胆な行動を起こしているが、あるアジア系アメリカ人起業家は、伝統的に白人と男性が支配的な分野であるクラフトビール業界に狙いを定めている。

Lunar の共同創業者 Kevin Wong 氏が、ニューヨークから、これまでのキャリアの軌跡と、共同創業者 Sean Ro 氏とともにアジア系アメリカ人初のクラフト・ハードセルツァーをローンチしようと思った理由について話してくれた。

Kevin Wong 氏
Image credit: Kevin Wong

アメリカでは、飲料やアルコール製品の多様性が圧倒的に不足していることがわかった。実際、アメリカのビール業界は、93%以上が白人で、76%以上が男性だ。つまり、アメリカに存在する製品は、IPA、ライトビール、レモン、ライム、チェリー風味のドリンクなど、どれも同じようなものばかりなのだ。アジア系アメリカ人はアメリカの人口の6%を占め、最も急速に成長しているマイノリティグループだ。

Wong 氏は、市場に見出したチャンスについて、このように説明してくれた。

ハードセルツァーは、炭酸水、フルーツフレーバー、アルコールをブレンドした軽いアルコール飲料で、ここ数年、世界的な人気を博している。

2018年から、わずか数年の間に、このカテゴリはほぼゼロからビール業界の10%のシェアを獲得し、予測では2027年までに市場が140億米ドルに成長すると予想されているので、かなりクレイジーな現象だ。(Wong 氏)

台湾系アメリカ人2世として、アジア系アメリカ人の非営利団体に常に積極的に参加してきた Wong 氏は、自身のアイデンティティと文化遺産について考えることが常に頭にあり、それが Lunar のアイデアにつながったと言う。しかし、アルコール業界での経験はなく(Ro 氏も Wong 氏も、以前はソフトウェアのスタートアップで働いていた)、製品の作り方を学ぶだけで1年半を費やしたと Wong 氏は言う。何百ものレシピを経て、ようやく今の Lunar のようなおいしいレシピにたどり着いたのだ。

Image credit: Lunar

J.P. Morgan のの投資銀行部門でキャリアをスタートさせた Wong 氏自身も、こんなに早く会社を辞めることになるとは思っていなかったという。

アーリーステージの企業で働きたいと思ったからだ。(Wong 氏)

その転機となったのは、ある大企業の CFO と電話で話していたとき、彼が数字を出しながら、ある取引についてアドバイスしていたとき、「自分は会社経営について、実際何を知っているのだろう」と、その場に座りながら考えていた、と話す。

当時、新卒の若造だった私は、ビジネスがどのように構築されるかを自分の目で確かめたかったし、Excel のスプレッドシートからだけでは、ビジネス運営の複雑さをすべて理解できないかもしれないので、その時、自分が行くべきと思ったのだ。(Wong 氏)

その後、マーケティング・ソフトウェア企業の Yext に就職し、同社の経営戦略チームの立ち上げや IPO の成功に貢献した。

私は、会社がまだ小さかった頃に入社したので、会社全体のあらゆることに携わることができ、すべてのチームがどのように機能しているのかを知ることができた。J.P. Morgan を辞めるときに学びたかったことはすべてこれだったので、自分のキャリアはとても幸運だと思う。(Wong 氏)

ハードセルツァーを醸造する Wong 氏
Image credit: Lunar

Yext で得た経験から、彼は自信とアイデアを得て、創業者、経営者、金融専門家であり、黒字転換前からIPO 後までエンタープライズソフトウェア企業を築いた経験のある友人や元同僚と投資シンジケートを立ち上げることを決意した。

Lorimer Ventures には、典型的なソフトウェア会社の立ち上げから国際市場への進出まで、文字通りすべてを経験した者が集まっている。だから、そのユニークな切り口をベンチャーキャピタル側に持ち込みたかったんだ。(Wong 氏)

Wong 氏によれば、Lorimer Ventures はプレシードからシリーズ A までのソフトウェアスタートアップにフォーカスしているそうだ。

最近、シリーズ A/B を調達したポートフォリオ企業には、ソフトウェア対応の小売電気事業者 David Energy や、企業の追跡・分析を支援するソフトウェアサービス Firstbase などがある。(Wong 氏)

ビジネスを一から構築するために必要なすべての重要なスキルを学び、身につけたことで、Wong 氏は次の挑戦の準備が整った。それは、自身のハードセルツァーブランドでクラフトビール業界に参入することだ。

台湾のパッションフルーツで作られた Lunar
Image credit: Lunar

Lunarの特徴は、本物のアジアのフルーツを使用した最初で唯一のハードセルツァーであることだ。

柚子、ライチ、韓国の梅、パッションフルーツなどのフレーバーが特徴で、文化やストーリー性を通じてアルコール飲料の新しい章を切り拓きたいと考えている。例えば、柚子の果汁は日本の島根県から直接仕入れている。パッションフルーツも、最初は台湾から輸入したパッションフルーツピューレを使った。(Wong 氏)

現在、アメリカではTrader Joe’s Total Wine、Fairway、Food Bazaar などの有名小売店でのみ販売されているが、Wong 氏は Lunar の目標は、本物の製品で知られる世界的に有名なブランドになることだと語っている。

台湾やアジアをはじめ、世界中に商品を販売できるようになることが目標だ。各地にタップルームを開設し、コミュニティの集いの場にしたい。(Wong 氏)

Wong 氏は、見過ごされていた地域に特化した製品を市場に送り出し、商業的な成功を収めることで、我々のような地域が少数派のニッチな市場ではなく、世界が注目すべき大きな市場であることを証明したいのだ。

Lunar をローンチることで、我々の文化や伝統を体験し、評価してもらう機会になるのだ。(Wong 氏)

【via Meet Global by Business Next(数位時代) 】 @meet_startup

【原文】

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