2025年までに売上100億円へ「Findy」が語るエンジニア採用の秘訣とは

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ファインディ代表取締役の山田裕一朗さん

ニュースサマリ:エンジニアスキルや開発チームの生産性を可視化するプラットフォーム「Findy」を提供するファインディは10月25日、都内で事業戦略の発表会を開催した。2021年10月から提供しているエンジニア組織支援SaaS「Findy Teams」を改良し、「Findy Team+(プラス)」に名称変更する。これまでエンジニア組織で使われるソース管理のGithubやJiraなどと連携することで、エンジニアの開発活動を可視化し、開発組織全体の生産性を定量的に評価できる仕組みだったが、ここに開発者体験や改善する組織文化、採用などの機能を追加していく。

その第一弾としてエンジニア組織の生産性を可視化するだけでなく、その状態をスコアリングする「エンジニアの生産性指標」を新たに開発し、12月頃の提供を目指す。現在同社で提供している転職サービスなどと連携させ、開発組織の状態管理と転職をシームレスに繋いだエンジニアプラットフォームとしてのポジショニングを確立させるとした。同社では2025年までにFindy Team+の導入企業数2,000社、Findyシリーズ全体での売上規模100億円を目指す。

また、同日にFindy Team+を利用した企業で開発組織の生産性向上に寄与した企業を表彰する「Findy Team+ Award 2022」の授賞式も開催された。今年1月から6月末までに、Findy Team+へ連携されたデータからアクティビティが計測された開発人員数に応じて規模別に分類し、3つのカテゴリで合計30社を選出している。エンジニア組織が100人以上と定義した「Large Div.」部門にはアンドパッドやKINTOテクノロジーズ、ZOZOなどが受賞している。

話題のポイント:GithubやJiraといった開発者向けのソース・タスクツールとデータ連携し、開発者のスキルを可視化してくれるのがFindyです。可視化したスキルを元に転職などのキャリアマッチングに役立てる「Findy」と、開発組織の状態を可視化してチームの生産性を向上させることができる「Findy Team+」などが主力事業です。噂にもよくファインディ好調という話は聞いていたのですが、今日の戦略発表会で代表取締役の山田裕一朗さんが放った「2025年までに100億円・2000社導入」は正直、衝撃的でした。

もちろん目標ですが、2025年「までに」とコミットしていたのが印象的で、これはかなりのペースでトップラインを伸ばしているのだろうなと予想します。

生産性の向上が開発採用力につながる

さて、そんなファインディが戦略発表会で語ったエンジニア採用のサイクルが大変興味深い内容でした。テクノロジーを扱う企業におけるエンジニア不足、採用問題は言うまでもなく大きな課題です。壇上で山田さんが引用していた経済産業省発表の調査結果(※)によると、2030年には最大79万人のエンジニアが不足するとの推計があるそうです。

採用に課題を抱える企業としては当然ながら「採用力を上げる」というアプローチが頭に浮かぶはずです。採用PRの戦略を考えたり、エージェントやリファラルといった施策を組み合わせ、大きく網をかける方法です。採用力が上がればエンジニアを採用できて生産性が上がる。当たり前のように見えて、山田さんはこの逆のベクトルを考えるべきと提案していました。

つまり生産性を上げることを優先することで、結果的にエンジニアの採用力が上がる、というアプローチです。

「生産性の高い組織がエンジニアの採用力につながっていくんだということを最近強く実感しています。生産性が上がるとクライアントやユーザーに対する迅速な価値提供ができるようになります。社会課題に対する解決の度合いが高まるのがひとつあります。その結果、開発者の社員エンゲージメントが上昇するということが(ファインディ社内でも)起こっていて、結果的に会社に来て欲しい人材がやってきてくれて採用人数が増えていく」(山田さん)。

アワードで発表された生産性が高い企業(一部)

壇上では山田さんがファインディでFindy Team+を使った開発チームの可視化グラフを見せてくれていたんですが、プルリクエストの数やそのクローズまでの時間が可視化されていて、開発提案数が増えていきながら、クローズまでの時間が短くなっていく、つまり開発(サービス改善)生産性が高まっている状況が示されていました。そしてそれに相対する形で社員エンゲージメント(ファインディではWevoxを使っているそうです)のスコアが改善しているそうです。

また、山田さんはコロナ後から働き方が変わり、例えばエンジニアに対してリモートやオフィスなど働きやすい環境を整えたり、全体的にオープンな姿勢を示すなど、企業文化そのものが生産性に寄与する要素であるとも指摘します。

本稿では割愛しますが現在、ESGの視点で「人的資本情報開示」を企業に求める声が高まりつつあります。透明性は働く人たちにとって非常に重要な権利です。ファインディが取り組むこれらの可視化についても、開発者をはじめ、企業で働く人たちがよりよい環境で活動できる基盤になっていくような印象を持ちました。

ちなみに山田さんにお聞きしたところ、Findyシリーズ全体の売上目標100億円の内訳はエンジニア転職の方で7割、Findy Team+で3割ほど、ここに海外での展開が追加で加わるというお話です。また、Findy Team+の導入社数2,000社でどのような企業を狙っているのかについては、現在利用が進んでいるのは50名から150名ほどの開発組織を持っているスタートアップ(上場後も含む)としつつ、今後は開発外注メインだった大手に拡大させていくと説明されていました。

※経済産業省「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」

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