
本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」に掲載された記事からの転載
OpenAIによる自然言語処理AI、ChatGPTの勢いが止まらないようです。ネット検索の分野では大きく水をあけられたMicrosoftが検索エンジン「Bing」にChatGPTを組み込むことでGoogleへの対抗ののろしをあげる一方、本家Googleも近く同様の自然言語処理を基盤としたBardを公開予定としています。
このように勢いが増す自然言語処理系のジェネレーティブAIでひとつ、興味深い話題がありました。ロボットは弁護士になれるのか?というチャレンジです。ご紹介する2015年創業のDoNotPayはニューヨークを拠点とするスタートアップで、Andreessen Horowitzからの資金提供を含め、これまでに累計2,770万ドルを調達しています。
DoNotPayの方法は以下の通りです。被告はスマホアプリを法廷に持ち込み、全ての発言を聞いた後にイヤフォンを通じて被告に対しアプリが何を発言すべきかを指示します。法廷にこのようなデバイスを持ち込むことは違法なケースが多いのですが、DoNotPayの主張では「補聴器」として許可されるケースがあると主張していたようです。
しかし、この計画は断念に追い込まれます。Browder氏によると、弁護士としての資格を持たないアプリが法律行為を行うことは軽犯罪にあたる可能性があるという指摘を受けたそうで、また、実際に法廷で正しく音声を聞き取れるのかどうかという点も怪しかったようです。
DoNotPayは社名が語るように、弁護士を雇う余裕のない人たちに向けたソリューションを目指しています。今回の事例はさすがに飛躍していましたが、高額請求や信用機関とのトラブルなど、社会にはまだまだ法律の力で回避できるシーンが多くあります。同社は今後、そういった小さな課題解決を目指すべく、AIをトレーニングしていくそうです。
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