Googleがソフトウェア開発クラウド「Replit」と提携、ジェネレーティブAIを使ったコーディング分野でMicrosoftに対抗

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ユーザ2,000万人を抱えるクラウドソフトウェア開発プラットフォーム「Replit」は28日、Google Cloudとの新たな戦略的パートナーシップを発表し、同社の開発者は Google のインフラ、サービス、ジェネレーティブ AI の基盤モデルにアクセスできるようになると明かした。

このパートナーシップにより、Google Cloud および Workspace の開発者は、Replit の共同コード編集プラットフォームを利用できるようになり、オンラインでアプリケーションを作成・共有することが可能となる。

これは、コードを生成することができる AI のためのオープンなエコシステムを構築するというGoogle Cloud のコミットメントを反映している。Replit にとって今回の提携は、10億人のソフトウェアクリエイターに力を与えるという目標に向けた次のステップと位置付けている。

今回の発表は、Github が最新の OpenAI GPT-4 モデルを採用し、Copilot の機能を拡張してチャットと音声機能を追加し、開発者がプロジェクトに関する質問に即座に回答できるようにした、AI主導のソフトウェア開発プラットフォームのアップグレード版「Copilot X」を発表した1週間後のことだった。

(GitHubを所有し、OpenAI の戦略的投資家でもある)Microsoft と Google の間で、どちらの会社がソフトウェア開発者にとって最も魅力的なプラットフォームとツールを提供できるかを決める戦いが繰り広げられている。

Replit でアプリを数秒で作成、起動

Replit によると、同社のアプリケーション「Ghostwriter」は、Googleの言語モデルを使用して、コードブロックの提案、プログラムの完成、開発者の質問への回答などを瞬時に行うとのことだ。Ghostwriter を使用して開発者が書いたコードの30%以上は、AI によって生成されたものだという。最先端の言語モデルは、自然言語による簡単なプロンプトで完全なプログラムを生成することができ、コーディング経験がなくても数分で完全なウェブサイトを作成することが可能なのだ。

しかし、最も強力な言語モデルであっても、自らコードを実行することはできない。スタンドアローンのチャットボットとして動作するモデルは、プロジェクトに関するコンテキストを持たない。開発者は、開発環境からチャットアプリにコードをコピー&ペーストする必要があり非効率だ。また、モデルは開発者の目標を達成する方法や、統合開発環境内でプログラムを実行する方法を知ることはできない。

言語モデルが開発環境に統合されるまでは、Replit の CEO Amjad Masad 氏が描く、AI が非開発者を開発者にし、ソフトウェアエンジニアを超生産的な「10Xエンジニア」に変え、複雑なソフトウェアの1000倍の生産性を可能にするという未来には、手が届かないままなのだ。

コーディングのための Google Docs

2016年にサンフランシスコで設立されたReplitは、「初の完全オンラインマルチプレイヤーコンピューティング環境 」として、瞬く間に熱心なユーザー層を獲得した。このプラットフォームでは、ダウンロードやセットアップなしで、誰でもコーディングを始めることがでる。それは Google Docs に似ているが、コーディングのためのものだ。

50以上のプログラミング言語をサポートしており、ユーザーはあらゆるブラウザやデバイス(モバイルを含む)を使ってアプリやウェブサイトを構築することが可能だ。また、プロジェクトのコラボレーションや共有、コードを実行するためのコンテナへのアクセスも容易となっている。

GPT-4Claude など、AI を使って自然言語を生成するチャットボットのような派手な発表に注目が集まっているが、ソフトウェア開発プラットフォームへのAIの統合は静かに進み、初心者でも簡単にアプリケーションを作成できるようになってきている。Microsoft がプログラミングツール「Github」に GPT-4 を採用したり、Google がオンラインコーディングプラットフォームを提供するスタートアップ「Replit」と協業したりと、開発者に最適な環境を提供できるかの競争が過熱している。

ソフトウェア開発の未来は、AI がどれだけコードを書けるかによって大きく左右されるかもしれない。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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