電通、クリエイティブラボ PARTY のスタートアップスタジオ「combo」、イグニション・ポイントベンチャーパートナーズ（IGP VP）の3社は19日、大企業とスタートアップの協業支援プログラム「GLUE! CAMP」をローンチすると発表した。このプログラムは、マッチングフェーズとアライアンスフェーズに大きく分かれているのが特徴だ。

ゴールドウイン（東証：8111）や J.フロントリテイリング（東証：3086）やイオンモール（東証：8905）の CVC を共同運営している IGP VP がスタートアップのソーシングやマッチングで、combo がプログラムの全体設計やスタートアップのグロース支援で、電通はプログラムに参加する大企業側とのリレーションや、アライアンスフェーズ以降のアイデアの具現化などで協力する。

なお、IGP VP の親会社であるイグニション・ポイントは昨年、電通グループ（東証：4324）に買収され連結子会社となった。同社は、電通ジャパンネットワークとの協業で、顧客企業の事業変革を実現するビジネス変革領域（BX）とマーケティング基盤の変革を実現するデジタル変革領域（DX）の事業強化を推進している。

GLUE! CAMP では、大企業がスタートアップとのオープンイノベーションで展開したいテーマを提示。スタートアップからの応募を受け、3ヶ月ほどかけてマッチングを実施し、大企業1社に対しスタートアップ1社程度が採択され、アライアンスフェーズに進める。今年12月には、共創の結果、生まれたプロダクトやサービスが披露される。

なお、アライアンスフェーズに進んだ後は、スタートアップの意向に沿えば、電通（電通スタートアップグロースパートナーズの「SGP ファンド」）、combo の親会社 PARTY、IGP VP（前出の3つの共同運営ファンド）などから、積極的に投資も検討するとしている。共創相手となった大企業や他のパートナーの出資の可能性もあり得る。

初回バッチに参加する大企業と、各社が提示しているテーマは次の通り。

• アサヒグループジャパン・・・未利用資源を活用したアップサイクルビジネスの創出
• NTT・・・電波状況予測、位置情報に関連する技術を活用した新しいビジネスの創出
• NEC・・・ESG／非財務情報開示に関するビジネスの創出
• サザビーリーグ・・・半歩先の「ライフスタイルを提案する」新しいビジネスの創出
• トヨタ・コニック・プロ・・・モビリティ領域から拡がる地域活性化事業
• POLA ORBIS CAPITAL・・・次世代ビューティー・サービス／エクスペリエンス
• 明治安田生命・・・AI やデジタルを活用した新しい QOL 向上サービス

各社が提示しているテーマは抽象的なものも多いが、求めるアイデアを決め撃ちせず、多岐にわたる提案をしてもらうため、意図的に幅を持たせているとのことだ。なお、協業する内容次第で、イグニションポイント（IGP VP の親会社）、GNUS、電通スタートアップグロースパートナーズ、電通デジタル BIRD、スタートアップリサーチファームの SUNRYSE がメンタリングで協力する。

このプログラムのオーナー及びパートナーは、電通の BX クリエーティブ・センター長でマネージング・ディレクターの作田賢一氏、イグニション・ポイント・ベンチャーパートナーズ取締役でジェネラルパートナーの圖子田健（ずしだ・けん）氏、そして、PARTY のクリエイティブディレクターで、「VALU」や「The Chain Museum」のディレクションでも知られる中村洋基氏が務める。

中村氏によれば、CVC や大企業の新規事業部門がスタートアップとの共創に課題を抱えている状況を目の当たりにし、足りていないもの、求められているものの仮説に基づいて、GLUE! CAMP のプログラムを設計したそうだ。初回バッチ参加企業やスタートアップとの共創に課題を感じている企業からの意見を元に、プログラム内容は随時ブラッシュアップしていくという。初回バッチの募集は7月末まで。