セコイアが中国部門を完全分離、百度が30言語対応コーディングアシスタント公開など——中国スタートアップシーン週間振り返り(6月5日~9日)

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Baidu(百度)がローンチした AI コーディングアシスタントは、30以上の開発言語に対応する。
Image credit: Baidu(百度)

本稿は、Technode(動点科技)が、6月5日〜6月9日に配信した「News Feed」記事の中から主要ニュースを翻訳したものです。

ByteDance、ChatGPT に似たチャットボットを社内テスト中(6月9日)

現地メディア Tech Planet(Tech 星球)の9日の報道によると、TikTok を所有する ByteDance(字節跳動)は現在、OpenAI の「ChatGPT」と類似した「Grace」というチャットボットの内部テストを行っている。北京に拠点を置く同社は、Grace はまだ初期段階にある AI チャットツールプロジェクトの内部コードネームであり、現段階では専ら内部テスト目的で採用されていると Tech Planet に明かした。

ByteDance は今年初め、同社の汎用言語モデルで、画像処理と言語機能の高度化を優先する計画であると報じられた。AI ラボの陣頭指揮を執るため、同社は Alibaba(阿里巴巴)の元 AI 専門家 Yang Hongxia(楊紅霞)氏を採用した。しかし、ByteDance は今のところ、AI 開発の取り組みに関する最新情報については控えめにしている。Tech 星球

中国、今年の立法作業計画に AI 法を盛り込む(6月9日)

中国の最高行政機関である国務院は6日、2023年立法作業計画を発表した。その中には人工知能法の草案が含まれている。この草案は、国の立法府である全国人民代表大会(全人代)常務委員会に提出され、審査される予定だ。具体的なスケジュールは決まっていないが、AI 法の草案は、中国がジェネレーティブ AI 産業に対して国家レベルの規制を設ける意向であることを意味している。国務院総局

Sequoia Capital、地政学的課題の中で中国とインド・東南アジアの事業を分割へ(6月7日)

ベンチャーキャピタルの Sequoia Capital(紅杉資本)は、地政学的緊張の高まりから中国とインド・東南アジアの事業を別法人に分割する。アメリカとヨーロッパの事業は既存の Sequoia Capital という名称を維持する計画だ。Neil Shen(沈南鵬)氏率いる Sequoia China(紅杉資本)は、中国語ブランド名を維持し、英語では「HongShan(紅杉)」と表記する。

シリコンバレーに本社を置く同社は6日に「分散型のグローバルな投資事業を運営することはますます複雑になっている」と述べた。分社化は2024年3月までに終了する予定だ。Sequoia Capital は約20年にわたり、フードデリバリの Meituan(美団)、Temu の親会社 PDD(拼多多)、TikTok を運営する ByteDance(字節跳動)など、1,200社以上の中国企業に投資してきた。ロイター

Baidu(百度)、AI を活用したコーディングアシスタントをローンチ(6月7日)

Baidu Cloud(百度雲)は、同社の AI モデル「ERNIE(文心)」をベースにしたコーディング支援ツール「Comate」を発表した。このアシスタントは、過去のコードに基づき、1行から複数行のサジェストでコード予測を生成することができる。また、自然言語からプログラミング言語への翻訳も可能だ。

試用期間中、開発者らは AI が生成したコードの30〜50%を実装することに成功した。Comate は、主流の統合開発環境(IDE)フレームワークと互換性があり、C/C++、Python、Java に重点を置いた30以上のプログラミング言語をサポートしている。現在、ベータテスト段階で、世界中のユーザに公開されている。百度

Tencent(騰訊)、AI 支援診断ソフトが医療当局の認可を取得(6月7日)

Tencent(騰訊)の健康部門は1日、AI を搭載した大腸ポリープの診断ソフトについて、中国の国家食品薬品監督管理総局(NMPA)からクラスⅢの認可を取得した。この製品は、成人の大腸ポリープの検出に特化したもので、電子内視鏡で撮影したビデオ画像内でポリープの疑いのある領域を特定し表示することができる。

この製品は、全分野にわたる革新的な医療機器208件のうち、AI を活用した腸管ポリープの診断ソフトとして3件目の NMPA 承認取得となった。過去2回のソフトウェア承認は、2022年8月に Chengdu Weishi Medical Devices(成都微識医療設備)、2023年5月に Wuhan Chujingling(武漢楚精霊)が取得している。財新

元 Douyin(抖音)のプロダクトリーダー、AI 企業 DeepLang(深言)に入社(6月6日)

元 Douyin(抖音)製品リーダーのWang Jingjin(王京津、別名 Seven)氏が、AIスタートアップの DeepLang AI(深言科技)に入社した。清華大学の卒業生が2022年3月に設立したこのスタートアップは、自然言語処理を専門としている。

Wang 氏は以前、Tencent News(騰訊新聞)でプロダクトマネージャーを務め、その後 Douyin でローカルライフサービスを率いていた。DeepLang AI の関係者は、中国のテックメディア 36Kr(36気)に、「製品開発における Wang 氏の専門知識は、我々の将来の方向性を形成する上で重要な役割を果たすだろう」と語っている。36気

著名 SF 作家 Liu Cixin(劉慈欣)氏、スピーチ原稿に ChatGPT の使用を認める(6月5日付)

ベストセラーSF小説「三体問題」の Liu Cixin(劉慈欣)は、5月29日に開催された中国 SF 大会のスピーチ作成に ChatGPT を使用したことをライブストリームで明らかにした。Liu 氏は、スピーチはよく書けていたと思うと付け加えた。

Liu 氏は、機械学習が社会や人々の生活に大きな影響を与えることを期待しているとしながらも、AI はまだ最も突飛な SF に描かれる程度には発達していないと指摘し、すぐに人類を支配できるようになることはないだろうと予測した。しかし、Liu 氏は、AI が多くの仕事で人に取って代わることを予見していると警告した。網易

【via TechNode】 @technodechina

【原文】

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