〝総合金融機関〟目指すUPSIDER、ユーザ企業にIPO支援を無償提供——デット成功させた会計士の佐藤氏らが助言

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UPSIDER のシニアコーポレートパートナーで公認会計士の佐藤英則氏
Image credit: Upsider

<14日13時更新> 支援対象に決定した企業はまだ無いとのこと。該当箇所を訂正線で削除。

法人向けカード事業や企業内の経費精算簡略化サービスを提供する UPSIDER は14日、ユーザ企業向けの IPO を支援するサービス「UPSIDER IPO Partners」をローンチした。UPSIDER の業態やサービス内容から考えると、本業からはかけ離れたサービスのような印象を持つが、このサービスを統括する UPSIDER のシニアコーポレートパートナーで公認会計士の佐藤英則氏によれば、「UPSIDER を使う企業が成長すれば、UPSIDER のトップラインも上がる(佐藤氏)」との観点からパッケージ化に至ったそうだ。

佐藤氏は UPSIDER に参画する前は、EY 新日本監査法人で監査業務やスタートアップの IPO 支援に従事していた。UPSIDER には財務責任者として参画し、そこからカスタマーサクセスマネージャー、シニアコーポレートパートナーへと興味深い変遷を経て現在に至る。公認会計士でありながら、カスタマーサクセスを牽引していたのは、自らが UPSIDER で成功させたデットファイナンスの経験を、ユーザにも還元したかったからだったという。

デットファイナンスの際、大変苦労しました。でも、日本のスタートアップが、僕らと同じ体験をする必要はないと思います。まずは、N-3(IPO 直前々々期)とか N-2 (IPO 直前々期)とか、監査法人が入るか入らないか、くらいのスタートアップをお手伝いしたいと思います。(中略)

IPO するぞ、とチームは考え始めた。パッションはある。でも、経理担当者がいきなり IPO 責任者にさせられて、次に何をしていいかわからない。適任者も簡単には見つからない。そういったスタートアップをお手伝いしたい。(佐藤氏)

Image credit: Upsider

具体的には、低金利での資金調達手段や既存金融機関の紹介、大型融資を求める際に必要となる資料の作成支援(場合によっては、テンプレートも提供もしてくれるそうだ)、そのほかさまざまなアドバイスを行う。佐藤氏を筆頭に、UPSIDER には数名の公認会計士が在籍していて、彼らが役割を分担しながらユーザ企業を支援してくれるとのこと。なお、リソースに限りがあることから、当初の対象は5社程度で、すでに3社は決定済だ。佐藤氏は2026年までに、このサービスの利用企業から10社 IPO させることを目標にしている。

UPSIDER は6月、秘書機能「AI Coworker」とスタートアップ向け融資の AI 与信「UPSIDER Capital」を発表した。UPSIDER が事業をカードや経費精算簡略化だけに留めないのは、同社が掲げる「世界で戦える日本企業を生み出し、日本の競争力を再び上げることを支援する総合金融機関へ」というビジョンを実現するためのものだ。同社は UPSIDER の導入企業が25,000社に達しており、2022年に株式上場を発表した企業のうち、約20%が UPSIDER を導入していることを明らかにしている。

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