Appleの学生向け開発奨励プログラムで3度も入賞、ティム・クック氏が一目置く22歳ドイツ人起業家の素顔

Henri Bredt 氏は、世界中の学生を対象とした Apple の開発奨励プログラム「Swift Student Challenge」で入賞、WWDC23に参加し Tim Cook 氏に「Typoversity」を実演する機会を与えられた。
Source: Bredt 氏の X(旧 Twitter)

22歳のドイツ人青年 Henri Bredt 氏は、自身が開発した「Typoversity」で Tim Cook 氏の目に留まった。Typoversity は、ユーザが自らのタイポグラフィを向上させるアプリだ。Apple の「Swift Student Challenge」を受賞したことで、Cook 氏はこの青年のプロダクトに興味を持った。

Bredt 氏の作品は Typoversity だけでない。彼は UX(ユーザエクスペリエンス)デザインも得意で、最近では、Apple デバイスでのメモ用に「Thoughts」を開発し、このアプリは好評を得ている。UX 重視で知られる Apple に、Bredt 氏はどんな挑戦を挑んでいるのだろうか。

22歳青年のデザイン追求が、Tim Cook 氏の目に留まる

起業家 Bredt 氏は子供の頃から写真好きで、12歳の頃には Lightroom を使って写真を加工していた。しかし、当時 Lightroom のインターフェイスに物足りなさを感じていた Bredt 氏は、自分が思うインターフェイスを素手で描き、プログラムを書けるようになった日には、それを自分でプログラミングすることを夢見ていた。

そんな思いから、Bredt 氏は Microsoft のプログラミング言語 Visual Basic を学び始めたが、12歳の彼が独学で学ぶには難しすぎた。そこで Bredt 氏は、より初心者に優しい Apple のプログラミング言語 Swift に移行することにした。

Swift を学ぶ過程で、彼はは2019年に初の MacOS アプリ「GlanceCal」をリリースした。GlanceCal は、Apple の内蔵カレンダーの拡張機能で、iOS 16 の新機能「Widgets」のように、ユーザはカレンダーの日めくりをタップすることなく、その日の詳細をデスクトップで見ることができる。

この経験が Bredt 氏の想像力を広げ、彼は毎年 Swift Student Challenge に参加するようになった。デザインに魅了された Bredt 氏は、2022年にタイポグラフィに関するトピックを選び、まもなく、タイポグラフィのトレーニングアプリ Typoversity を開発した。このアプリは、画面を左から右に分割し、レッスン、教育コンテンツ、インスタントクイズの順に表示され、ユーザはデザインの知識を素早く吸収することができる。今回で3度目の受賞となる。

Typoversity は、正しい使い方をすれば iPad が素晴らしいワープロ端末になることを教えてくれる。
Source: Github

Bredt 氏の信条は「Less is more(少ないほうが豊かである)」で、やみくもに流行やトレンドを追うべきではないと考えている。デザインにおけるシンプルさは、時代を超越した製品を生み出し、これは彼の最新製品「Thoughts」に反映されている。

インスピレーションを記録するアプリ「Thoughts」を開発

Bredt 氏の新しいアプリ Thoughts は、Apple デバイスに内蔵されたメモ機能の使用を最適化するように設計されている。

人生には、気が散る瞬間がたくさんある。電話や届いたメッセージに気を取られ、本を読んでせっかく得られたインスピレーションを忘れてしまうこともある。このような考えをメモアプリに入力する人もいるかもしれないが、適切にファイリングされていなければ、インスピレーションはやはり簡単に忘れられてしまう。

Thoughts の機能はとてもシンプルで、ユーザが自分の「ライブラリ」を作ることができる。自分の感動的な瞬間を記録するカードを作り、自分の考えを分類することで、Thoughts は2つの方法でリアルタイムを記録することができる。

テキストを選択した後、「Share on Thoughts」を選ぶと、コピペせずに記録できる。
Source: Bredt 氏の X(旧 Twitter)
  1. ソーシャルメディアやインターネット上で心に響く文章を見かけたら、その文章を選択し、「Share on Thoughts」を選ぶと、コピペせずに記録することができる。
  2. スマートフォンのカメラでテキストをスキャンすると、アプリに取り込むことができる。

Bredt 氏は、よくある使用シナリオも考慮に入れている。人はメモを書くが、それを再び開くことをあまりしない。この問題に対処すするため、Bredt 氏は Thoughts で、スマートフォンのホーム画面にさまざまなメモを表示するウィジェットもデザインした。

Thoughts の無料版は最大20個のメモを保存することができ、アンロックしてフル機能を使うには、月額1.99米ドルか年額8.99米ドルのサブスク、またはワンタイムの購入で26.99米ドルを支払う必要がある。

Thoughts のユーザ数はまだ明らかにされていないが、Bredt 氏は他のアプリの開発を続けながら、アプリの機能と体験を磨き続けている。Bredt 氏は、「自分にはフルタイムの独立開発者になる能力はないが、これは将来の起業の可能性を考慮してのことだ」と述べた。

【via Meet Global by Business Next(数位時代) 】 @meet_startup

【原文】

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