インフルエンサーと共同でフードデリバリー事業を開発する「Lanch」/GB Tech Trend

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Lanch と共にフードデリバリブランド「Loco Chicken」を展開するドイツ人ミュージシャン Luciano 氏
Image Credit: Lanch

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」掲載された記事からの転載

今週の注目テックトレンド

GB Tech Trendでは世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。

UberEats、Postmates、DoorDashなどのフードデリバリーサービスの台頭後、ゴーストキッチンやバーチャルキッチンなど、デリバリーに特化した業態に注目が集まりました。これらは、巨大プラットフォームから派生した市場として急成長しています。今回紹介するスタートアップも、フードデリバリー業界に関連するビジネスを展開しています。

Lanch」は、インフルエンサーと協力してフードデリバリーブランドを開発する企業です。最近、690万ドルの資金調達を発表しました。この会社は、人気のあるインフルエンサーと共同で、デリバリーサービス上で提供されるブランドを構築します。提供する料理が決まると、調理場所の受け入れを希望するレストランを探し、インフルエンサーとマッチングさせます。

レストラン側は、キッチンの稼働率を高めたり、ブランド価値を向上できたりするといったメリットを受けられます。売上の3分の1はレストランが受け取り、残りはインフルエンサー、Lanch、そして提携したフードデリバリーサービス事業者に分配されます。Lanchは食材卸を行い、また、インフルエンサーとレストラン事業者の両方にどの商品が売れているのか、どの顧客層が関心を持っているかなどのデータを提供し、ブランドの持続的な成長を支援します。Lanchのうまい点は、卸とデータ提供を通じて、ブランドが確立された後も安定的な収益を確保できることです。

Lanchの実態は、「マッチング事業者」と言えます。ブランド構築や料理開発にハンズオンで取り組む初期コストがかかる一方、成功すればフランチャイズ形式で提携店舗を増やし、収益を拡大することができます。まさに、フードデリバリー時代の新たなフランチャイズビジネスの形と言えるのではないでしょうか。

最近、インフルエンサーがプラットフォームを利用して、ブランド展開や収益源を増やす事例が増えています。たとえば過去にご紹介した、インフルエンサーがお気に入りの場所を地図プラットフォーム上で共有する「Atly」や、インフルエンサーがEコマースブランドを展開するための「Pietra」などが挙げられます。

YouTubeやTikTokで活躍するインフルエンサーが、こうしたSaaSビジネスを使い、ブランドを横展開していく需要が増えている印象です。今後は、これらのブランドやプラットフォーム機能を統合するコンパウンドスタートアップ的なサービスや、ロールアップ型で各ブランドを買収するインフルエンサー特化のファンドが登場する可能性もありえるかもしれません。

10月17日〜10月30日の主要ニュース

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