Tech in Asia、シンガポールのメディアコングロマリットが買収——ビジネス紙「Business Times」と統合へ

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(From left) The Business Times editor Chen Huifen, Tech in Asia COO Maria Li, SPH Media editor-in-chief of English/Malay/Tamil Media Group Wong Wei Kong, Tech in Asia CEO Willis Wee, and Tech in Asia editor-in-chief Terence Lee
Photo credit: SPH Media

シンガポールを拠点とし、東南アジアを中心としたスタートアップのニュースポータルやカンファレンスを運営する Tech in Asia が、シンガポールの SPH Media に買収されることが明らかになった。買収条件などは開示されていない。

SPH Media は、シンガポール国内において、地上波・国際テレビ・ラジオ放送などを運営する Mediacorp、地元新聞の Straits Times などを傘下に置くコングロマリット。Singapore Press Holdings からメディア事業の譲渡を受け、2021年12月から営業を開始した。

Tech in Asia は2010年、「Penn Olson」という名前でスタートした。シンガポール経営大学を卒業し、現在となっては競合の e27 で記事を書いていた Willis Wee 氏により創業。その後、2012年3月に Tech in Asia と名前を改めた

当時は筆者も Tech in Asia に日本のスタートアップの記事を提供したり、Tech in Asia の東京ミートアップを手伝ったりしていた。Tech in Asia から BRIDGE への翻訳転載も続いている。Tech in Asia Conference は、東京でも2015年2016年にイベントを開催している。

2013年には Fenox Venture Capital(現在の Pegasus Tech Ventures)がリードしたラウンドで、調達額非開示の資金調達を実施し、同じ年の9月、シンガポール拠点のテックブログである SGEntrepreneurs を買収した。現在、Tech in Asia の編集長を務める Terence Lee 氏は、SGEntrepreneurs の共同創業者の一人である。2017年には、韓国ハンファグループのリードで660万米ドルを調達した

SPH Media は Tech in Asia の買収により、傘下のビジネス専門紙「Business Times」を強化する。SPH Media のスポークスパーソンの話によれば、買収後の統合プロセスには12〜18ヶ月を要する見込みで、この期間中、Tech in Asia と Business Times はそれぞれ、別のブランド/メディアとして運営される。

Channel News Asia によれば、Tech in Asia は東南アジア全域に90人の従業員がいるが、SPH Media は、この買収・統合に伴う Tech in Asia 従業員のレイオフは予定していないとしている(Channel News Asia は Mediacorp の運営媒体であるため、SPH Media と間接的に資本関係がある)。

Tech in Asia が2017年にハンファグループなどから資金調達した直後に Dealroom.co が見積もった試算では、Tech in Asia の時価総額は当時、2,000〜4,000万米ドルとされた。

この分野では2015年、Business Insider が創業8年目で、ドイツのメディア大手 Axel Springer に買収された。日本のメディアジーンは今年6月、台湾メディア企業 The News Lens(関鍵評論)と合併したのは記憶に新しい。かくいう我々 BRIDGE も2018年、PR TIMES(東証:3922)に買収され、現在は子会社として活動を続けている。

このニュースは現在進行中であるため、追加の情報が得られ次第、随時、本稿を更新する。

<参考文献>

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