デライトV、タームシートから上場努力や株式買戻義務など条項撤廃へ——「Vチャレtech」参加者の募集開始

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<27日午後4時更新> デライト・ベンチャーズからの要望により訂正線部を削除。

デライト・ベンチャーズは、DeNA 創業者で代表取締役会長の南場智子氏を中心に2019年に立ち上げられた独立系ベンチャーキャピタルだ。27日、スタートアップとの投資契約書(タームシート)の今後の方針について発表した。この中で、同社では、上場のタイミングに対する自由度を上げること、起業家個人が個人的な金銭リスクを負わない仕組み、ストックオプション(SO)を柔軟に発行できる仕組みを取り入れたとしている。

今回発表された中で、最も顕著な変更は上場努力義務の撤廃だ。同社では、上場は資金調達手段の1つであり、成長戦略に基づいて判断されるべきであると強調している。一般的な国内の投資契約では上場努力義務が規定され、上場可能な状況で上場しない場合には「株の買取義務」が課される。これはエグジット確度向上のための措置であり、早期上場が必ずしもスタートアップや投資家にプラスになるわけではない。世界的な視点で時期尚早な上場が成長に悪影響を与える現状を指摘し、大きな事業投資を行う選択肢も尊重するとした。

また、国内では、創業者が個人的に連帯保証し責任を負うことが一般的で、会社法により利益のないスタートアップが自社株式を買い取ることは禁止されている。つまり、買い戻し条項は起業家を個人破産させる可能性を秘めた交渉上のレバレッジを投資家に与えているに過ぎず、スタートアップやエコシステムにマイナスの影響を与える可能性がある。デライト・ベンチャーズでは、買い戻し不能時の違約罰を課すことでモラルハザードを防ぎつつ、情報非対称性を考慮し起業家に投資契約に関する知識と法的支援獲得を奨励する。

また、デライト・ベンチャーズでは、アメリカ型のオプションプールの設定による、柔軟に発行・付与できるストック・オプション(SO)の仕組みを導入しており、スタートアップとの投資契約ではこの方法を提案するという。SO で得られる利益の最大化を目指し、スタートアップに優秀な人材を引きつけ、公正な SO を柔軟に付与できる仕組みを後押しする。デライト・ベンチャーズのスタートアップ投資に関する契約方針については、ここから参照することができる。

また、当初は DeNA グループ内外の人々と共に新規事業を立ち上げていた「Venture Builder」は2021年から一般公開され「ベンチャー・ビルダー・チャレンジ(通称:V チャレ)」と名前を変えたが、同社が東京都の「多様な主体によるスタートアップ支援展開事業(TOKYO SUTEAM)」の協定事業者として採択されたのを受け、「Vチャレ tech」として募集を開始した。プログラム採択者は検証結果に応じ、同社のベンチャー・ビルダーファンドからのプレシード出資も期待できる。第一期募集は、2024年2月29日正午まで。

via PR TIMES, PR TIMES

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