流通量は右肩上がり、現代アートのマケプレ「TRiCERA」が伸びたワケ/KDDI ∞ Labo12月全体会レポ

TRiCERA 代表取締役 井口泰氏

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載

国境を超えたアートマーケットプレイス「トライセラアート」を展開するのがTRiCERAです。ピッチステージの壇上に登った同社代表取締役の井口泰さんによると「アーティストの参加国数は126カ国以上で、8,000人以上が登録しており、現在の作品掲載数は9万点以上」になるそうです。越境での国際取引には多言語での作品説明や価格交渉、美術品を専門にした出荷や配送、国際間決済、返品手配などの手続きが必要になります。

これらに加え、真贋証明書の発行なども加えた一気通貫でのアート取引をサポートするのが同サービスです。TRiCERAは過去に参加したKDDI ∞ Laboのイベントをきっかけに大日本印刷株式会社(DNP)グループとつながり、今年6月にはDNPアートコミュニケーションズとの間で資本を加えた業務提携も発表されています

トライセラアートでは、アーティストから直接作品を購入することも、コレクター同士で作品を売買することもできます。現在我々のサービスは非常に伸びています。現代アート市場全体では、アーティストの数は約7倍、流通量は10倍、オークションでの売上高に関しては22倍になっています。(井口氏)

Image Credit: トライセラアート(同社ウェブサイトから)

その背景には富裕層による需要の拡大があるそうです。「購入の動機はインテリアに加え、投資対象で購入する方が非常に増えている」(井口さん)という話で、これらの人々は新世代コレクターと呼ばれており、30歳から50歳の男性投資家や経営者が多いとのことでした。

そしてこれらの方々の特徴はオンラインでアートを購入する点です。つまり、実物を見ないで購入する傾向があるということなのですが、コレクション投資を目的に購入されるケースの平均単価は数百万円にものぼるとか。結果、トライセラアートの流通額の拡大に繋がっているそうです。

今までは(アート作品の)1次流通と2次流通が分断されており、オフラインが主流でした。TRiCERAが提案するのは、この海外市場へのアクセス方法がなく、流動性が低いという分断を解決するためのプラットフォームです。オンラインとオフラインを含む1次流通と2次流通を結びつけ、全世界に対してのチャネルを開くことです。これが我々が今、行っていることなんです。(井口氏)

今後はDNPグループとの連携を強化し、機能面については価格設定などにAIを取り入れるなどの展開も考えているとのことでした。

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