SpiralとeiiconがJV設立、大企業のスタートアップ投資で財務&戦略の両リターン追求を支援

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左から:村田宗一郎氏(eiicon 執行役員/COO)、中村亜由子氏(eiicon 代表取締役社長)、香川脩氏(eiicon AUBA Enterprise 事業責任者)、松本泰拓氏(Spiral Capital グループ オープンイノベーション支援責任者)、岡洋氏(Spiral Innovation Partners ジェネラルパートナー)、鎌田和博氏(Spiral Innovation Partners パートナー)
Image credit: XSprout

Spiral Capital のオープンイノベーションに特化子会社 Spiral Innovation Partners(以下、SIP)と、オープンイノベーションに特化したコンサルティング会社の eiicon は29日、コーポレートベンチャリング(大企業による起業家精神を活用した新事業創出)に特化したアドバイザリー会社として、XSprout(エクスプラウト)を共同出資で設立したと発表した。

新会社には、SIP が51%、eiicon が49%をそれぞれ出資し、SIP のオープンイノベーション支援責任者の松本泰拓氏、eiicon の AUBA Enterprise 事業責任者の香川脩氏の2人が共に代表取締役として就任、また、それぞれの社から同人数が取締役に就任した。両社では、企業がスタートアップへの投資を通じて、財務リターンと戦略リターンの両方を追求できる体制づくりを支援する。

SIP はこれまで、セイノーホールディングス(東証:9076)、保険大手の T&D ホールディングス(東証:8795)、住宅ローン保証大手の全国保証(東証:7164)らと、それぞれ二人組合による CVC 設立や運営を支援。CVC からスタートアップへの投資を前提として、大企業のスタートアップ共創を支援してきた。

Image credit: XSprout

VC からの純投資が財務リターンを優先するのに対し、CVC からの投資は戦略リターン(事業共創の実現)にも重きを置いたものになることが多い。ただ、逆説的に言えば、CVC からの投資を伴わない場合、大企業が会社全体としての当該のスタートアップとの事業共創へのコミットを謳うことは難しいのも事実だ。

CVC 設立にまだ至っていない、言わばオープンイノベーション予備軍の大企業からのスタートアップとの事業共創の相談は、SIP にもこれまで多く寄せられているだろう。XSprout のスキームでは、SIP と eiicon が手を組むことで、CVC をまだ持たない大企業に対しても、スタートアップとの事業共創を支援できるようになるという。

大企業とスタートアップの連携においては、スタートアップに投資した部門(または CVC)のみならず、大企業が持つどんなアセットをスタートアップが活用できるかの整理、ルールづくり、プランニング、実行支援などが重要になる。XSprout ではいずれの場合にも、アドバイザリーやコンサルティングのサービスを提供できるとしている。

Image credit: XSprout

スタートアップと大企業の事業共創を狙ったコーポレートアクセラレータの数は、数年前と比べてもかなり増えた。この流れは CVC にも飛び火する可能性があるが、XSprout では実務的な支援によって、大企業が確実に成果を出せるようにしたいと意気込む。SIP や親会社 Spiral Capital の LP、eiicon が持つ、のべ1,000社以上の顧客に対して営業を行い、初年度に10社程度への導入を目指す。

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