元エルピクセルの島原氏ら、医療AI推進機構を設立——医療画像管理3,000万件以上、医療AI創出300以上目指す

SHARE:
Image credit: MAPI

エルピクセルの共同創業者で代表取締役を務めた島原佑基氏が、医療 AI 業界の発展に向けて活動する医療 AI 推進機構(MAPI)を設立した。本社は、三井不動産らが主導するライフサイエンス系のスタートアップハブ、東京・日本橋のライフサイエンスビルに置く。「機構」という名前ではあるが株式会社の形を取っており、利潤を追求しながらも、売上の一部を、医療機関、希少疾患の AI の研究開発などへ還元・寄付するとしている。スタートアップとして、投資家から資金調達することも念頭に入れているようだ。

島原氏は東京大学新領域創成科学研究科の出身で、その際の同僚と共に、AI を駆使した画像解析技術でライフサイエンスの現場を支援することを目的として、2014年3月にエルピクセルを創業した。2020年6月、元取締役が横領容疑で逮捕されたことをきっかけに、経営執行体制の強化のため、エルピクセル起業時のメンターだった TomyK の鎌田富久氏を代表取締役に迎え、 2人代表取締役体制を取っていた。島原氏の note によれば、島原氏は昨年5月に代表取締役を退任し、9月に取締役も退任していたようだ。

MAPI によると、日本には良質な医療データが大量に存在しているが、データの利活用が十分に進んでおらず、海外と比較して AI の研究開発や活用が遅れているという。その要因として、MAPI では、データ提供のノウハウ・リソースの不足、開発のためのデータ加工(アノテーションや品質調整)の困難さなど、データの提供側・取得側共に大きなハードルが存在していることを挙げている。MAPI ではこうした問題の解決のため、データの有効活用と法規制対応の解消に重点を置いて活動するとしている。

島原氏は、エルピクセルでの従来業務を他のチームメンバーに移譲しつつ、最近は教育活動や3〜5年後の事業成長のための業界変革に注力してきた。今回、社会やマクロ視点から良い影響を与えることに集中するため、医療 AI 推進機構を設立したとしている。なお、エルピクセルでは、昨年の島原氏の代表取締役退任以降、前出の鎌田氏が1人体制で代表取締役を務めている。MAPI は今後、次世代医療基盤法の認定事業者資格の取得を目指し、2030年までに3,000万件以上の医療画像データの管理、300以上の医療 AI の創出・改善への貢献を目指す。

Members

BRIDGEの会員制度「Members」に登録いただくと無料で会員限定の記事が毎月10本までお読みいただけます。また、有料の「Members Plus」の方は記事が全て読めるほか、BRIDGE HOT 100などのコンテンツや会員限定のオンラインイベントにご参加いただけます。
無料で登録する